北海道庁や各自治体は、さまざまな公的支援制度を用意してきた。充分であったかどうか、必要とする人々に必ず届いていたかどうかについては、数多くの疑問がある。しかし、それらの制度が必要とされていたことと「ないよりはマシ」だったことは、間違いない。

北海道独自の制度
「薪炭費特別基準」とは

 生活保護においては、北海道独自の制度である「薪炭費(しんたんぴ)特別基準」が、1950年から存在している。その名の通り、冬を生き延びるために必要な薪や炭の購入費用の上乗せであった。暖房の燃料が灯油やガスとなった後も、「薪炭費」の名称はそのまま残った。

 国の制度である生活保護に対して、地方自治体が独自の上乗せを行うことについて、厚労省は「好ましくない」と考えていた様子である。2015年の薪炭費は、最も寒冷が厳しい地域の多人数世帯に対する最大額で、月額1690円という少額となっていた。2015年度より、生活保護の暖房費補助の削減が開始されると、並行して薪炭費も減額された。寒冷の厳しい地域では、わずかな金額となりながらも存続していた時期もあるが、2020年現在は0円となっている。

 この他に、非課税世帯を対象とした「福祉灯油」制度もある。形態や内容は、「1世帯あたり1シーズンに1万円の現金」「灯油110リットル分の商品券」など多様である。また、生活保護世帯に対しては、「生活保護の暖房費補助があるから除外」という扱いの自治体もある。金額や運用が充分かどうかはともかく、「福祉灯油」制度は、東日本大震災の激甚被災地などにも導入されている。

 また、燃料価格の高騰が予想される場合には、北海道庁や各自治体による価格調整の試みも行われてきた。「小泉構造改革」以来の規制緩和の流れとは逆行しているけれども、市場原理と競争原理だけで人命や生活を守ることはできない。日本の人々の多くが、コロナ禍でこのことを痛感しているはずだ。