この試験には、過去90日以内に坐骨神経痛を発症した、18〜60歳の患者220人が参加した。これらの患者が坐骨神経痛で苦しんでいた日数の平均は、35日間だった。このうちの半数(110人)を、4カ月にわたり理学療法(PT)を行う群(早期PT群)に、残る半数を、経過観察のみ行う群(対照群)にランダムに割り付けた。早期PT群では、患者の症状に合わせて内容を調整した運動療法と腰椎モビライゼーションなどの徒手療法が行われた。介入の結果は、歩く、座る、物を持ち上げるといった日常生活動作における困難の有無を調べる標準的な質問票(Oswestry Disability Index;OSW)で評価した。

 その結果、早期PT群では、治療開始から4週間後、6カ月後、および1年後のいずれの時点でも、対照群と比べて、OSWスコアが大きな改善を示した。

 ただし、この結果についてFritz氏は、「坐骨神経痛を発症した全ての患者が、すぐにPTを受け始めるべきだと解釈すべきではない。誰にでも効く治療法などないのだから」と強調している。