喜びの存在を知る「9つの質問」

 あなたの身のまわりの世界が喜びに満ちているか、いないかを知るには、どうすればいいだろう? 厳密な判断基準はないが、次の問いを考えてほしい。

1:毎日どれくらい笑いますか?
2:最後に心からの喜びを感じたのはいつですか?
3:一日を終えて帰宅したとき、どんな気持ちになりますか? それぞれの部屋に入るときの気持ちは?
4:あなたのパートナーや家族にとって、喜びはどれだけ大切ですか?
5:仕事でよく喜びを感じますか?
6:あなたの会社は喜びに賛成/中立/反対のどの雰囲気ですか? 職場で声を出して笑えますか?
7:いちばん喜びを感じるのはどんな活動をしているときですか? その活動をどれくらい頻繁にしますか? それは自宅や近所でできることですか?

8:いまの街に暮らすことにどれくらいの喜びを感じていますか? 隣近所についてはどうですか?
9:あなたがしあわせを感じる場所はどこですか? 自宅から15キロ以内にありますか? 最後に訪れたのはいつですか?

 どんな人も、生まれながらに喜びの能力を持っている。喜びは窯の中の種火と同じで、しばらくつけていなくても、心の中で燃えたたせることができる。いまあなたが手にしているこの本は、喜びの炎を再び燃やし、周囲の世界への考え方を大きく変える助けになる。

「日常」の見え方が大きく変わる

 本書の中心となる考えは、喜びはただ見つけるだけでなく、自分のため、周りの仲間のためにつくりだすことができる、というものだ。

 本書をガイドブックにして、周りの世界にどんどん喜びを見つけ、味わってほしい。なぜ特定のものや場所に、あなたを内側から照らす力があるのかを理解してほしい。またこの本をパレットにして、より多くの喜びをデザインし、あなたの世界に工夫して取り入れてほしい。

 各章はつながっているので、最初から順に読んでいくのがいちばんわかりやすいだろう。でも心に響く美学があったら、先に読んでも大丈夫、飛ばしたところはあとで戻ってもかまわない。

 これから紹介する美学の中には、あなたがとくに惹かれるものもあれば、そうでないものもあるだろう。自然愛好家なら、とくに「自由の美学」が気に入るかもしれないし、高所恐怖症の人は、「超越の美学」を合わないと感じるかもしれない(「人が本能的に喜んでしまう10の美学」についてはコチラを参照)。

 また、住んでいる場所や生活状況に応じて、好きな美学が変化することもあるだろう。

 殺風景なオフィスには「エネルギーの美学」を注入するといいかもしれないし、多忙な家庭には「調和の美学」が喜びを運ぶかもしれない。でも子どもが巣立ったら、活気を取り戻すために「遊びの美学」が少々必要になるかもしれない。

 これらの美学を自由に選び、組み合わせたり重ね合わせたりして、あなたが喜びを得られるような経験を生み出してほしい。特別なルールなどはないが、直感的に取り組みやすいように、本書ではとくに相乗効果のある美学と、衝突し合う美学を指摘している。

 暮らしに喜びの美学を取り入れるのに役立つ、具体的なものを紹介した章もあるが、高価なものを買わなくても喜びに満ちた空間をつくることはできる。巻末には、本書のアイデアをあなた自身の空間や生活に取り入れるためのヒントやワークシートを満載した「ジョイフル・ツールキット」があるので活用してほしい。

 私たちは、この物質世界があたかも日常活動の無音の背景、いわば舞台装置であるかのようにして、日々を過ごしている。だがその世界は、ひらめきや驚き、そして喜びの機会に充ち満ちている。本書をきっかけにして、周りの世界にそうした機会を見つけ、自分のものにしてほしい。

 喜びには、小さな瞬間を大きな変化に変える力がある。風変わりな服装が誰かのほほえみを呼び、それを見た誰かが見知らぬ人にちょっとした親切をし、それが心が折れそうな誰かを励ますかもしれない。ほんの小さな喜びの行為が積み重なるうちに、わずかな人だけでなく、世界中が、いつしか真の喜びに満ちあふれるだろう。

(本稿は、イングリッド・フェテル・リー著『Joyful 感性を磨く本』からの抜粋です)