大学野球部にいて未来を感じない、悲劇的な現実
東海大学野球部の寮で大麻吸引の事実が発覚し、大学は「野球部の無期限活動停止と首都大学秋季リーグ戦辞退」を発表した。
東海大学野球部は、首都大学野球リーグ創設の中心的役割を果たし、結成以来73回もの優勝を重ねる強豪チームだ。しかも、言うまでもなく巨人・原辰徳監督、エース菅野智之投手の母校。これまでにプロ野球選手を50人以上輩出しているチームだけに、その衝撃は小さくなかった。
このところ、大学スポーツで“大麻事件”が続発している。なぜ大学生アスリートが大麻に走るのか? それぞれ事情は違うだろうが、私が東海大野球部の騒動で真っ先に感じたのは、「大学の野球部にいて未来を感じない」という悲劇的な現実だ。
今回の騒動に関連して東海大学野球部は「部員が128人、寮生が110人」と報じられている。この数字を聞いて、一般にはごく普通の反応しか見られない。強豪チームならそれくらい当たり前という常識が浸透しているからだろう。だが、ちょっと想像してほしい。野球は9人で戦うスポーツだ。毎試合100人以上が試合をただ見ている計算になる。ベンチにも入れない部員が100人もいる。そんな野球部で、落ちこぼれた選手はやる気になれるのか?