病気を遠ざける「免疫力」は腸で作られるため、腸内環境をよくする食品をとることが重要、というのは、81歳の免疫専門医である藤田紘一郎氏の弁。いわく、健康長寿のために勧める食品には、野菜、発酵食品、肉や魚の骨から出るだしなど。それらの食品をスープでとるメリットは、体調が悪くても年をとっても体に吸収しやすいことです。
ウィズコロナの時代を生きるすべての人に手に取っていただきたい最新刊『免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』では、著者自身も毎日飲んでいる究極のスープはじめ、おいしく続けるための73レシピを紹介している。
この連載では、自分で免疫力を高める食事の法則や、著者が勧める『長寿スープ』のレシピなどをお伝えしていきます。

長寿世界一の香港に学ぶべき食習慣とは?Photo: Adobe Stock

骨から溶け出す    
ゼラチンで若々しく!

 世界で一番長寿の地域は、香港です。香港が長寿を誇るのは、香港の人たちが中医学で滋養食とされる鶏を煮込んだスープをよく飲んでいるからといわれています。鶏に限らず、骨つきの肉や魚を煮込んだスープは「ボーンブロス」と呼ばれ、アメリカのスポーツ選手や女優さんたちが注目し、美容や健康維持のために役立てているようです。

 骨つきの食材と野菜を煮た具だくさんのスープは、実は私も2~3年前から飲んでいます。このスープには、肉、魚のたんぱく質や野菜の食物繊維のほか、水溶性の成分も含め、現代人に不足している大切な栄養がたっぷりと含まれます。そして骨から溶け出るゼラチンには、腸の粘膜を整える働きがあります。ゼラチンに含まれるコラーゲンは、骨や腱を強化し、皮膚や髪を若々しく保ちます。しわやたるみも改善、まさに長寿のための料理です。

 具材からのうまみもたっぷりだから、簡単なのにおいしい! いいことずくめのスープ、さっそく始めてみませんか。

 本原稿は、藤田紘一郎著免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』の第1章からの抜粋です。免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』では、腸内環境を整えて免疫力を高める「長寿スープ」のレシピがたっぷり収録されています。ウィルスが蔓延するこの秋冬、免疫力を高めて病気にならない体を手に入れてみませんか?(次回へ続く)

長寿世界一の香港に学ぶべき食習慣とは?
藤田紘一郎(ふじた・こういちろう
1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了、医学博士。テキサス大学留学後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。
専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、日本寄生虫学会小泉賞を受賞。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で、日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。
おもな著書に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)、『脳はバカ、腸はかしこい』(三笠書房知的生きかた文庫)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』『ヤセたければ、腸内「デブ菌」を減らしなさい!』『免疫力』(以上ワニブックスPLUS新書)などがある。