(3)「なんでも型」こだわり上司
もし、あなたの仕事が、「環境安定×計画と実施の領域」にあり、上司がこのタイプなら、もうひたすら上司の仕事の仕方についていき、仕事のやり方を学ぶしかない。完璧に準備をするというのはどういうことかを学ぶ、貴重な修業の期間だと考えるのがよいだろう。
一方、あなたの仕事が、「環境不安定×プランニングの領域」の場合、完璧主義のプランニングは残念なことに新規性がなく、お客様への価値や貢献をどう作るかではなく、自分側の都合で「できることをきっちりとする」ことに重点が置かれている可能性が高い。そして、それは顧客や、上司のさらに上の上司からは歓迎されない。ゆえに、上司の細かさに付き合ってもあまり成果は望めないだろう。
では、この場合どう対応すればよいか。一つは、実現可能性があり、かつ顧客にとって効果的なプランをあなた自身が提案することによって、上司の弱い部分を補強するという方法がある。ただし、タイミングには注意が必要だ。
あなたの提案が、ロジカルには最適解であっても、その会社では過去に例がない、つまりその上司自身があなたの提案の類似の成功例を見たことがないという場合、その提案は好まれないだろう。完璧主義者にとって実行可能性が確実でない提案は、自分のポリシーにも反するからだ。
最適なタイミングがあるとすれば、上司が提案した内容がさらに上の上司から拒絶され、上司が途方に暮れたときである。そのときはじめて、あなたの提案に耳を傾けてもらえる素地が生まれる。それまではプランを出すのも控えておいたほうが無難だ。
細かい上司を
「使い倒せ」
上司との相性はとても重要で、仕事の成果にも影響が出るし、仕事へのやる気も相当に変わってしまう。
とはいえ、上司は選べない。その意味ではどんな上司ともうまくやっていく技術は持っておいた方がよいし、あわせてどんな上司からでも良いところを学ぼうとする姿勢を持っておいても損はしない。
おおざっぱな人は、細かい上司と一緒に仕事をしていると神経が参ってしまうかもしれない。しかし、細かいというのは概して、その分野に関しての知識量が多いということと同義でもあるから、上司から得られるものをその間に得ておこうと考えるのが、現実的な選択肢である。
つまり、細かい上司にチェックされているとか、使われていると思うのではなく、あなたが上司の細かさを自分のキャリアやスキルアップのために「使い倒す」という発想で対処すれば、案外、その状況を客観視できるし、余裕を持って仕事を進められるのである。
(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)