インターネットの「知の巨人」、読書猿さん。その圧倒的な知識、教養、ユニークな語り口はネットで評判となり、多くのファンを獲得。新刊の『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せるなど、早くも話題になっています。
この連載では、本書の内容を元にしながら「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に著者が回答します。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
昨今のイーロン・マスク氏の活躍により脳科学や物理学に興味を持ち始めています
いつも読書猿さんのマシュマロの回答を楽しみにしている大学2年生の者です。昨今のイーロン・マスク氏の活躍により脳科学や物理学に興味を持ち始めています。
しかし、文系で大学に進学してしまったため、基礎知識がないばかりか、どこから取りかかればいいかさえもわかりません。友人に高校の教科書でも借りてやろうかとも考えたのですが、なにかいい入門書等ありますでしょうか。現時点での目的としては、今取り組んでいることがどれくらいすごいのか、何故それが可能にできるのかを理解することです。また、文系理系が区別されるのは日本においてであるから、文系といっても理系領域(STEMなど)にも触れていきたいです。どこから取り組むのが良いのでしょうか。
質問としては大きく分けて2つです。
1 脳科学、物理学を知るための手順
2 理系科目を学習するにはどこから、なにをすべきか
誰にでも当てはまる模範解答があるわけではないことは承知していますが、ぜひご意見を聞いてみたいです。浅学菲才の身ではありますがよろしくお願いします。
最初の1冊は子ども向けの本がおすすめです
[読書猿の解答]
脳科学、物理学を知るための最初の1冊にそれぞれ
岩波ジュニア新書の『脳科学の教科書 神経編』、『脳科学の教科書 こころ編』
Newton別冊『学びなおし 中学・高校物理』
はいかがでしょうか。
その次は、
実験医学別冊の『もっとよくわかる! 脳神経科学』
をどうぞ。
ここまでくれば教科書が読めます。
『カラー版 ベアー コノーズ パラディーソ 神経科学―脳の探求』がいろんなトピックを平易に解説しています。
物理学は、教科書ですが、いろんな日常的な例てんこ盛りでやさしく書けているので
ハリディらの『物理学の基礎』(全3巻)
へいきなり進んでも大丈夫だと思います。
「理系科目を学習するにはどこから、なにをすべきか」ですが、数学と仲良く付き合うことが肝要です。数学を味方にできればその後の学習は捗り、逆に敵に回せば早晩行き詰まります。こちらは今どれくらいのことができる/分かるかによるので、また別にご質問ください。