その演説の中で印象的だったのが、ミシガン州内の天然ガス採取開発を積極的に進めると、トランプ大統領が約束したことだ。

ジョン・ハガード。ミシガン州の共和党の選挙人16のうちの1人(撮影=長野美穂)

「天然ガスの州内生産量が増えれば価格も下がり、より多くの消費者が天然ガスを購入するようになる。プロパンから切り替える客も増える。そうなればまた、暖房工事の数も増えるだろう。うちのビジネスにも確実にプラスになると思って、嬉しかったよ」

 演説の夜、自宅に戻ったハガードは数時間だけ仮眠を取り、投票日の早朝、近くの投票所までの沿道に「TRUMP」と書かれたサインを、いくつも等間隔に並べて立てていった。「投票に向かう人たちが誰に票を入れたらいいのか、直前にこのサインを見て名前をちゃんと思い出せるように」と言いながら。

「今日から新たな闘いだ」
決意を固めるトランプ派の住民

 トランプ大統領の名前はすでに国民の誰もが知っているはずだが、ハガードは最後まで1票でも多く集めるために、手を抜かなかった。トランプサインの印刷代もすべて自腹だ。

コロナ禍でもユニークな選挙ディスプレーが住宅街のあちこちに(写真=長野美穂)

「自分が管轄するミシガン第一選挙区は、保守派の票でほぼ真っ赤に染めることができた。だが唯一、青い結果になってしまった場所がある。裕福なリベラルたちが住む、湖畔のリゾート地域のリーラナウ郡だ」

 悔しそうに語りながらも「選挙の結果を裁判で争うのは、弁護士を無駄に儲けさせるだけで意味がない」とハガードは断言する。トランプサインのかわりに彼が今手に握るのは、ミシガン州の民主党知事を罷免するための署名運動の用紙だ。ロックダウンを推し進めたミシガン州知事のグレッチェン・ウィットマー氏を、トランプ大統領は「あの女」と呼んで非難していた。

「今日からこれを配るんだ。また新たな闘いだ」

そう言いながらハガードは、「じゃ、これから仲間のワイフのお葬式に行くから」とトラックに乗り込んだ。