――Gゼロの世界は、アメリカの衰退を意味しているのでしょうか。ハーバード大のジョセフ・ナイ教授は、「アメリカは衰退していない」と言いますが。

「アメリカが衰退しているかどうか」というのは間違った質問です。アメリカが衰退しつつあろうとなかろうとヨーロッパを救済すべきだと考えている人は誰もいません。アメリカが衰退しつつあると主張している人が多いことは確かですが、そうではないと言っている人も多い。しかし、シリア問題、ヨーロッパ問題をアメリカが解決すべきだと考えている人は誰もいません。つまりそれは、アメリカに解決能力があるかどうかの問題ではなく、その意思があるかどうかの問題です。Gゼロというのは構造的な問題であって、アメリカの衰退とは関係ありません。

――さきほどからピボット国家と言われていますが、なぜpivot(ピボット)という表現を使うのでしょうか。

 そういう国は一つのセットの価値観やスタンダードから、別のものへと旋回する(pivot)能力があるからです。フレキシビリティがあり、適応能力があるのです。つまり大きな隣接国の影響で経済的、政治的、戦略的に縛られない国のことです。

――Gゼロ環境下での、勢力の均衡でもっとも重要な要素は何ですか。

 geopolitics(地政学)が以前よりも経済によって動かされていることは明らかです。テクノロジーもかなり重要です。軍事力もかなり重要です。

 資源に直接アクセスできるかどうかは、市場の効率が悪くなり、政治がさらに役割を果たすようになるにつれ、さらに重要になります。経済が中心的な要素になるとは言いませんが、地政学的に国家安全を保障する観点からの経済の重要性は、ここ2、3年高くなっています。

日本は中国に
どう対応すべきか

――さきほど日本の中国問題は消えないと言われましたが、日本は中国にはどのように対応したらいいのでしょうか。