イノベーションモデルの10パターン
(1)中間プロセスの排除
中間マージンを得ているプレーヤーを飛ばしてビジネスを再構築するアイデア。例えば、ウーバー以前にドライバーで稼ごうと思ったらライセンス登録に高額なお金を払う必要があり、時給も安かったし、粗悪な労働環境だった(アメリカでは、毎年、何千人ものタクシードライバーが強盗被害にあっている)。
ウーバーが中間プロセスを排除したらどうなったか? まずウーバードライバーの時給は高くなった。ウーバーは5点満点中4.6点以下になってしまうと、ドライバーとして継続できなくなるルールを採用している。つまり、顧客のフィードバックが自分の食いぶちに、クリティカルに影響する状況で、結果として車も綺麗になり、ドライバーもフレンドリーになり、ユーザーの満足度も高くなった。
(2)バンドルのアンバンドル化
あらゆる機能が一式にバンドルされすぎてUXや使い勝手が悪くユーザーに価値が届きにくくなっているものを、一度バラバラにして、価値提案を明確にして提供するアイデア。
例えば、従来の新聞ビジネスのモデルは、記事、広告、クラシファイド広告、新聞スタンド、配達員、印刷会社など、メディアの機能と流通の機能がバンドルされた状態だ。しかし、それだと興味が低いコンテンツを目にする機会が多く不満を持ったり、固定の流通コストがあるために、ユーザーは費用負担する必要がある。
(3)バラバラな情報の集約
あらゆる場所にフラグメント化している情報や機能を一つの場所に集約することによって価値を提供するアイデア。分かりやすい例を挙げると価格.comがある。同サービスが登場するまで私たちは靴をネットで安く買いたいと思ったら各ECサイトに個別にアクセスして価格を調べ比較する必要があった。非常に時間がかかったし、情報を網羅できているかの不安が残った。
(4)使われていないリソースの活用
使われていないリソースを活用することで売上を発生させるアイデア。エアビーアンドビーは未活用の部屋をキャッシュマシーンに変えることができる。リソースといってもモノやお金の話だけではない。時間も立派なリソースであり、空き時間に仕事を受注できるクラウドソーシングや、学校が休みの日だけ働けるウーバーなども、休眠資産の活用を可能にするアイデアである。
(5)新しいコンビネーション
これはビジネスアイデアの鉄板でもあるが、全く違う領域で活用されていたサービスを組み合わせて価値を提供するアイデア。高い抽象化能力、要素間の関連性を見つけその新結合から勝ち筋を見つけるインサイトや創造力が必要になる。例えば、airClosetという女性向けのアパレルレンタルサービスでは、月6800円払うとスタイリストがオススメの服を選んでくれて、自宅に届けてくれる。そしてユーザーはそれを着用したら洗濯せずに無料で返却できる(気に入ったら買い取ることもできる)。スタイリスト、フリーシッピング、フリークリーニング、フリークロゼットの4つのサービスを組み合わせたアイデアである。