同居家族が横領してしまう理由とは?
「横領」とだけ聞くと、それをした人が100%悪い、と聞こえるかもしれませんが、私には一概に横領した人だけが悪いとは思えません(横領を推奨しているわけではないですよ)。
というのも、介護の苦労を救済するための「寄与分」という制度が、うまく機能していないことが一番の原因だと考えているからです。
※寄与分については前回記事【「介護をがんばったので、遺産をたくさん相続します」は認められない!? 2つの対策とは?】を参照
もしも、同居している親が何も相続対策をしないまま、認知症を発症してしまった場合には、遺言書の作成も生前贈与もできなくなります。介護をした相続人の苦労が報われるためには、相続が発生した後に、他の相続人に介護の苦労分を納得してもらうか、家庭裁判所で寄与分を主張する以外に方法はなくなってしまいます。
しかし、他の相続人は納得してくれる様子もなく、寄与分が認められるのも難しそうということが事前にわかれば、介護を献身的に行っている方は、横領する以外に自分の苦労を晴らす方法が無いのです。
当然、人の財産を勝手に自分のものにする行為は違法であり、許されることではありません。
ただ、認知症の親の介護を付きっ切りでされている方のお話を聞くと、介護を手伝わない他の兄弟姉妹を不満に思う気持ちも大変よくわかります。
このあたりを取り巻く法律がもっと柔軟化してくれることを願っています。
何もしていないのに横領を疑われたら?
本当に横領なんてしていないのに、他の相続人から横領を疑われてしまうケースも多々あります。対策としてオススメしたいのは、簡単な帳簿を作成することです。ポイントをお伝えします。