戦後75年続いた秩序をひっくり返す
20世紀初めに新興勢力だった米国は当時の既存勢力だった英国の覇権に挑み、そして勝利しました。背景には第一次世界大戦への米国の参戦、第一次世界大戦で主役となった英国とフランスに対する借款の棒引き、第二次世界大戦への参戦がありました。
ただ、米国の勢いは徐々に衰えています。
為替の面では1971年にドルと金の兌換停止を決め(ニクソン・ショック)、為替相場もそこからは対円でドル安が進みました。それ以降、世界は市場に価格決定機能を委ねる変動相場制に移行しました。安全保障面を見ても1989年に米ソ冷戦が終結しましたが、2001年にはテロとの戦いが始まり、結果的にそれが中国の台頭を招いてしまいました。
1975年に始まった主要国首脳会議(当時はG5サミット)は1993年の欧州連合(EU)の誕生以降、協調を強めながら世界の政治経済を運営する考え方が強まりました。EU全体は世界経済の発展は目指したものの、米国に貢献することはありませんでした。
やや前置きが長くなりましたが、「パックス・アメリカーナ」から米ソ冷戦時代の間に構築され、その後の30年間で進化した国際秩序、言い換えれば第二次世界大戦後からおよそ75年続いた世界のルールをひっくり返そうとしているのが、現在の米国です。