豊田章男社長が指摘するとおり、本当の意味で脱炭素というならば、日本の電力や製鉄などの業界も脱炭素をしなければいけません。欧州諸国と違い、日本とアメリカはこの点でも世界から後れていました。

 それが一転して、2021年からアメリカも脱炭素陣営に本格的に加わることになる。その動きを察知した日本政府も、菅政権誕生と共に一気に脱炭素へ舵を切ることになった。これが今月、突如として起きた「脱炭素騒動」の背景です。

 つまり政治としては、世界と足並みを揃えて2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた動きを見せる必要があります。その象徴的な政策として、こちらも足並みを揃えて、2035年を目標に、ガソリン車の販売を中止しなければいけないというわけです。こうした世界の動きは以前からわかっていたことですが、ようやく日本政府がそれを公認したということです。

日本の自動車業界にとって
非常に不都合な問題とは

 しかし、この世界の動きは日本にとって非常に不都合な問題を1つ含んでいます。それが雇用です。

 ガソリン車は、非常に多くの部品によって組み立てられる機械製品です。ですから完成品メーカーの下に一次、二次、三次のサプライヤーがピラミッドのように存在しており、それぞれが担当する自動車部品を製造しています。合計すれば、自動車産業は日本全体の4%にあたる242万人もの雇用を支えています。

 ところが、世の中が電気自動車に代わってしまえば、必要となる部品の点数は激減します。そうなると多くの部品メーカーが立ち行かなくなり、雇用も失われます。

 この不安に関して、そうならないために役立つのが「ガラパゴス技術」です。その1つがハイブリッド車であり、もう1つが軽自動車。この2つが生き残れば、自動車産業の雇用も維持できます。

 先に世界の潮流を言えば、欧州諸国が定義するゼロエミッション車には、ハイブリッド車もプラグインハイブリッド車も含まれません。今年9月、アメリカのカルフォルニア州でも、「2035年までに州内で販売するすべての車両をゼロエミッション車にする」と発表しましたが、現時点での定義では日本と同様に、ハイブリッド車は除外されています。