自動車産業「脱ガソリン車」で、自動車業界は大きな地殻変動に見舞われかねない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

風雲急を告げる自動車業界
軽自動車まで「脱ガソリン」の対象に

 2020年は新型コロナに終始した1年でした。私たちは第三波が拡大する中での年末年始を迎えることになりますが、残念ながらコロナの早期収束は難しそうです。その理由は自然の摂理として、冬の間はウイルスの実効再生産数が「1」を超えるからです。

 今年7月に発刊した『日本経済予言の書』で、私は新型コロナの影響を予測しましたが、書籍の中で述べているとおり、経済についてのコロナショックが本格的に到来するのは2021年、つまり来年です。この冬から、日本経済は再び我慢の半年間を迎えることになるのです。

 ただ、コロナはいずれワクチンと治療薬ができれば収束します。その観点で2021年以降の日本経済に本当の意味で大きな影響を与えるのは、菅政権が打ち出した「自動車業界の脱炭素化」です。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする目標を掲げ、2030年代半ばまでに国内の新車販売をすべてガソリンから電気に切り替えるというのです。

 経済産業省の発表をそのまま報道するメディアに対して、トヨタ自動車の豊田章男社長は強烈なアピールを行いました。「国家のエネルギー政策の大変革なしに達成は難しい」と国に覚悟を求める一方で、「電動化=EV(電気自動車)ではない。電動化にはハイブリッド車も含まれることを正しく報道してほしい」とメディアにも苦言を呈しています。

 実は『日本経済予言の書』で取り上げている2020年代を通じた日本経済最大のショックが、「トヨタショック」です。自動車業界の中でトヨタが凋落し、それに伴って日本の自動車産業そのものが衰退する可能性が高い、というものです。本書ではそうならないシナリオも提示しましたが、脱炭素と自動化について業界内で調整と先送りを繰り返せば、トヨタショックは確実に起きるはずです。

 象徴的な小競り合いとして、先進国の中で日本は唯一、電気とガソリンを併用するハイブリッド車を廃止しない方針を表明しています。一方で、これも象徴的なことですが、日本が誇るガラパゴス商品である軽自動車については、電動化を推進する方針だと報道されました。実はこのハイブリッド車と軽自動車という2つの論点は、日本の産業や雇用を守る際の重要な防衛線なのですが、現時点でその1つが守られ、もう1つが変革されつつあるという状況なのです。

 このように急展開を見せる脱炭素の流れは、2021年にどう動いていくのでしょうか。根本的なグローバルなトレンドから、行く末を確認してみたいと思います。