研究論文の筆頭著者である、同大学生物学部のJennie Lavine氏は、「成人の風邪の約15%は、これらのエンデミックの状態にあるヒトコロナウイルスによるものだ。ヒトコロナウイルスに感染しても、大多数の人ではよくある風邪の症状、つまり上気道感染の症状が生じるだけだ」と説明する。ただし、低年齢児や高齢者など一部の人では、まれに重症化することもあるという。

 研究グループは今回、これら4種類のヒトコロナウイルスと同様、ほとんどの人が小児期に新型コロナウイルスに曝露(ばくろ)した場合に、将来的に予測される状況をモデル化した。

 その結果、COVID-19がエンデミックの状態に達すれば、感染者致死率は季節性インフルエンザと同程度(0.1%)にまで下がり、最終的にはヒトコロナウイルスを原因とする風邪と同じようなものになる可能性が高いと予測された。ただし、それがいつになるのかに関しては、1年とする見方がある一方で、10年はかかるとする見方もあり、現時点では予測困難だとしている。

 また、新型コロナウイルスが、いずれは軽症の風邪の症状をもたらすだけになるというこのシナリオは、小児や若者のほとんどは感染しても軽症、あるいは無症候であることを前提としたものだ。それゆえ、今後、このウイルスに感染した小児でも重い症状が現れるようになった場合には、「長期的なシナリオは暗いものになる」とLavine氏は言う。

 Lavine氏は、今後COVID-19が辿る経過を左右し得る複数の要素を挙げている。その一つは、この先の新型コロナウイルスが広がるスピードだ。また、今後、数カ月間にどれだけの人がワクチンを接種できるかも関わってくるという。

 さらにLavine氏は、強力かつ持続的な免疫を獲得するために必要な感染者数とワクチン接種者数は現時点では不明だと話す。そのほか、自然感染あるいはワクチン接種でウイルスの伝播をどの程度封じ込めることができるのか、これらによって感染後の重症化リスクをどの程度の期間、低減できるのかも解明されていないとしている。

 ただ、エンデミックの段階に至る道のりに、人々が影響を与えることは可能だという。「例えば、ワクチンの接種が広がるまでの間、できる限り感染率を低く抑え、死亡者を減らすとともに医療崩壊が生じないようにする、また、重症化リスクが高い人を中心にワクチンを接種する、といった対策が今後を左右する」とLavine氏は話している。(HealthDay News 2021年1月14日)

https://consumer.healthday.com/1-1-14-what-will-covid-19-look-like-years-from-now-2649911191.html

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