英単語はそこそこ知っている。文法もそれなりに分かる。にもかかわらず、英語が聞こえない、通じない、会話が続かない日本人が多いのはなぜでしょうか? 国際ヘッドハンティング会社のアジア支社長を務め、現在、シンガポール国立大学で世界の留学生たちに英語コミュニケーション術を教える著者は、その理由を「日本人の英語の勉強法が間違っているから」だと言います。香港生まれで、東京外国語大学の日本語学科を首席で卒業した著者は、「日本語の言語学的特性」を熟知した上で、日本人が最速で英語を身に付ける方法を考案し、これまでに多くの日本人をペラペラにしてきました。そのメソッドを初公開した話題の書が「7時間で英語が突然ハッキリ聞こえて会話が続く本」です。本書の中から、カタカナ英語と中学英語だけで、驚くほど会話がはずむようになるコツをお伝えしていきます。(初出:2021年2月13日)
「英語で会話ができる」と自信を持って言えないのはなぜ?
私はこれまで世界中の英語ネイティブや、ノン・ネイティブと接してきましたが、本来、日本人は、ノン・ネイティブの国の人たちの中でも、最も速く、最も効率よく、英語をマスターできる民族です。
ところが実際はどうでしょうか。「英語で会話ができる」と自信をもって言える人の割合は、アジアでも非常に少ないという現状があります。中学でも高校でも(さらに大学でも!)英語を勉強してきて、「当時のテストの成績は結構よかった」「英語は得意教科だった」というような人でも、いざ英語での会話となると頭の中がぐるぐるしてしまって言葉にならない、相手の言葉がほとんど聞き取れなくて固まってしまう……という有様です。
なぜそんなことになってしまうのか? そこには2つの大きな理由があります。
1つ目の理由は、「英語の勉強の方法が間違っている」ということです。日本人ほど真面目に熱心に英語を勉強“しよう”としている人たちは他にいないのですが、そのやり方が「ザンネン!」なのです。英語に関する知識はどんどん増えていくのに、英語をコミュニケーションの道具として“使おう”という意識が足りません。
2つ目は、これはみなさんのせいではなくて、教える側の問題です。日本人に最適な勉強方法を説明している本や教材を、私の知る限り、見つけることができません。慣れ親しんだ日本語と、新しく学ぶ英語の「言語」としての違いが考慮されていないのです。その理由は、英語の教材を作っている人のほとんどが「英語ネイティブ」の欧米人か、あるいは英語を学んで習得した日本人だからです。
彼らは、英語を話すことは得意でしょうが、日本語の特徴についての知識はあまりありません。また、著者のほとんどは語学教師で、英語を実際に使ってビジネスで成功を収めるという経験があまりないという点も挙げておきたいと思います。