「どこが押さえどころなのか」「何を重視すべきか」を
プランに組み込めるスタッフやコンサルタントは少ない

 企業もまったく同じで、経営レベルでもちょっとした情報を押さえて対応しておけばよいものを、実態の把握不足が積み重なり、徐々に不健全な状態になっていきます。そして「機能不全」が進行して組織内、特に現場の努力で耐えきれる限界点を超えたところで、一気にPLなどが悪化し表面化することになります。

 言うまでもなく、ビジネスにおいて最も重要なのは、製品やサービスなどの価値を創造し、お客様に提供する開発、製造、営業などの現場です。

「現場が重要だ」の言葉に異を唱える人などなく、社内はもちろんのこと、コンサルタントをつかまえても百人が百人、これの言葉を口にします。

 しかし現実には、組織を始めとした様々なプランの策定に際して、その「現場」を自身で体感し、理解する努力をして「どこが押さえどころなのか」「何を重視すべきか」を実際のプランに組み込めるスタッフやコンサルタントはあまりいないように思います。

 どんなに素晴らしい技術や製品、サービスを開発しようが、その価値を正しく形に表現して顧客に伝え届けなければ、せっかくのそれまでに行った努力はすべて水泡に帰します。

 その現場を最適に機能させるイメージが不十分なままに、「ぼくは常に正しい」と「無謬(むびゅう)性」を起こした本部から、悪気なく一方的に’Do this’という指示が日々発信されている企業は呆(あき)れるほどに多いです。なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか。