今年は「春節は休まない」という言葉が、中国メディアの春節関連の報道でよく聞かれる。「民族大移動」と言われる大規模な人の移動を避けるため、中国政府は「所在地での年越し」を呼びかけた。勤務先で残業する人には企業が「お年玉」を配り、各地方政府は「商品券」の配布など、様々な特典をつけて、所在地での年越しを人々に奨励した。

「商品券」の金額は多くても200元(約3270円)ほどで、決して大きな額ではない。それはあくまでも人々の消費の補助という位置付けで、大きな経済効果を生むかどうかは疑問だ。各地の政府がどうしてそのような特典をつけるのかというと、中国政府の「人々の利益を中心に考える」という政策理念がある。

 中国人にとって春節は重要なイベントで、都市で勉強や仕事をしている人は必ずといっていいほど、故郷に帰る。だが今は、政府にとって重要な課題は感染が再び拡大しないようにすることだ。もし再拡大ということになれば、春節後まもなく始まる中国の重要な政治イベントの1つである全人代にも影響する。

 だが、防疫を重視するとどうしても人々の行動が制限される。強権的手段のみで「春節は帰るな」と政府が言っても、人々はついてこない。だから、政府による各種特典には「政府は国民のことをしっかり考えている」というメッセージが込められているのだ。

変わる中国人の春節消費
無視できない宅配便の存在

「春節は休まない」の代表例というべきものは宅配便だ。中国の消費で欠かせない存在となっている。例年なら、春節の1週間前くらいに宅配便も休みに入るため、物流がほぼストップする。春節期間中に使う物などを予想して、春節前に一気に注文するのが春節前の“仕事”だった。

 昔は、春節期間中はスーパーやレストランが閉まっていたが、今は営業しているところが少なくない。スーパーに買い物に行くと、モノがあまりなく、野菜も通常より割高だ。

 だが今年は何を買いだめするか悩む必要がなく、ネット上のスーパーでいつでも買い忘れたものなどを買うことができる。ただ店によっては、送料が通常の2倍になったりはするが――。