新入社員にも「裁量権」
目標設定と挑戦できる環境がカギ

 OpenWorkに投稿されているP&Gジャパンの社員クチコミで多く見られたのが、「早くから裁量権を与えられる」「裁量権が広い」といった声だ。

「私たちは、社員が働きがいを感じるために最も重要な要素の一つが『裁量権』だと考えている」(デロスサントス氏)

 ただし、新入社員が最初から裁量権を与えられても、戸惑うことも多いだろう。そこで行われているのが、先ほど挙げた入社直後からの専門性を磨くトレーニングとOJT、そして上司と一緒に行う「目標管理」だ。

 同社では、経営陣が1年間の会社の目標を定め、それが各部門の目標へと分解され、現場の社員へと割り振られる。個人が達成すべき目標は上司と相談しながら、自分自身で5つほど設定するため、目標への透明性は高くなり、納得度も高くなるという。

 しかし、新型コロナが典型であるように、取り巻く状況は日々刻々と変わる。そこで、上司と部下で定期的に話し合うことで目標を見直し、適切に修正を行っていく。こうした上司のサポートを受けるなどのプロセスを経て目標設定や管理を行うため、新入社員であってもやるべきミッションや身に付けるスキルが明確になり、不安なく仕事に取り組めるという。

 また、同じ組織で働きがいを感じ続けるためには、「挑戦」も欠かせない要素だろう。

「10年、20年と働いてもらうには、成長し続けられる、チャレンジできる環境が必要だ。そこで当社では、2~3年で配属を変えるようにしているが、専門を変えるわけではない。専門知識を深めて範囲を広げるのが目的だ。私自身も入社後アジアの採用・人材育成を行ってきたが、過去2年は日本を担当するなど、数年おきにミッションが変わっている。こうした変化で、挑戦し続けている感覚を得ている」(デロスサントス氏)