20年前から在宅勤務を導入!
柔軟な働き方を認める制度とは

 新入社員も含め、一人ひとりが能力を発揮できる組織作りに取り組んできた同社だが、それぞれにあった働き方が選べる柔軟な社内制度は、なんと約20年前から導入されている。

 まず、「フレックス・ワーク・アワー」という勤務時間を月単位で管理し、チームごとに設定されたコアタイムを満たせば、日ごとの開始と終了時間を柔軟に調整できる制度。導入当初の2000年当時はコアタイムの前後を個人で調整する仕組みで1日の労働時間を管理していたが、15年から現在の月単位で管理する制度に変更したという。また現在では、育児や介護などの特別な理由がなくても誰でも取得可能だ。

 新型コロナで多くの企業が始めた在宅勤務についても、2001年から導入。当初は育児や介護など特別な事由のある社員限定だったが、08年からはオフィス勤務の社員は原則誰でも選択できるように。当時、原則週1日、自宅に限るなどという制限があったが、15年からはそれを拡充し、情報セキュリティの確保を条件に、自宅以外でも勤務可能にしたという。

 さらに時短と在宅勤務の進化系として、15年に導入したのが「コンバインド・ワーク」だ。1日の中で会社と自宅の両方で働くことができる制度で、育児や介護などの理由がある人を対象に週に最大5日まで取得できる。これによって、子どもの迎えなどがある社員は、午後早めに退社し、家事などを行った後に、再度自宅で勤務することが可能になり、働く時間と場所の制約が取り払われて、時短勤務を取らずに働けるようになった。

 現在は新型コロナの影響で、一部社員を除いて在宅勤務が原則となっているが、以前からこれらの制度を使いたい人が使いたいときに気兼ねなく使えたことも、コロナ禍に在宅勤務へとスムーズに移行できた理由だという。

 働きがいのある企業であるためには、企業と社員の間に「信頼」があることも重要な要素と言われている。柔軟な働き方を認めることに対して、「社員がサボってしまわないか心配ではないか」という声も周りからあったというが、そうならずに長年続けてこられたのは、一人ひとりの多様性を尊重し、信頼するという企業文化がベースにあるからではないだろうか。