2015年には347億円という2001年の株式上場以来、過去最大の赤字額を記録した日本マクドナルド。どん底の状況にあったマクドナルドを、マーケティング本部長(当時)として見事に再生させた立役者の一人が、11月21日に発売されたばかりの新刊『マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』の著者、足立光(@hikaruadachi)氏だ。本連載では、P&Gからブーズアレン、ローランド・ベルガー、ヘンケル、ワールドというキャリアで学んできたことを辿る同作のエッセンスを紹介する。第7回はP&Gで徹底されている「効率化」について。

P&G流「ワンページメモ」とは

P&Gで学んだのが、時間ではなく成果を追求することです。働くこと=時間だったのは、労働時間と成果が正比例する、いわゆるブルーカラーの時代です。今は、やり方次第で同じ時間をかけても成果が何倍にもなるかもしれない、ホワイトカラーの時代である、ということを強く認識させられました。

ただ、これは自分だけの話ではない、というのがP&Gで学んだとても大事なポイントです。もちろん自分自身も時間ではなく成果を追求する姿勢が重要ですが、上司でも同僚でも取引先でも、一緒に仕事をする相手の効率性を最大にできるような働き方をしなければいけない、ということです。

例えば、「ワンページメモ」。これは、何か書類を作るときには、できるだけ1ページにまとめるというものです。最初に、メモの「目的(Objective)」を書きます。情報を共有したいだけなのか、決断してほしいのか、意見を求めているのか。

次にバックグラウンド「背景(Background)」を書きます。どういう背景で、このメモが作られているのか。さらに、自分はこうしたい、という「結論(Conclusion)」を書き、最後にその「理由(RationaleまたはFindings)」を書くのです。

紙の書類なら1枚ですが、これはメールも同じです。まずは「目的」があって「背景」があって「結論」があって、最後の最後に「理由」が書かれます。しかも、それぞれを数行で簡潔にまとめるのです。

このように書いておけば、「目的」から「結論」までの、最初の数行を読めば、このメールが何を言いたいのか、自分に何のアクションが期待されているかが瞬時に理解できるわけです。「結論」に合意した場合には、そのあとに書かれている「理由」は読み飛ばすこともできます。

「ワンページメモ」は、相手のことを考え、相手がいかに早く理解し、決断できるか、ということを考えた書類づくりなのです。読む人が、いかに時間をかけずに読み、理解でき、アクションを起こせるかを考えながら書くのです。