参画企業は得意分野で
ビッグデータに貢献

――プロジェクトには医療関係以外の企業も数多く参画しています。どのような形で集まったのでしょうか。

 3年前にCOIに採択されてからメディアで取り上げられる頻度も劇的に増え、企業から声がかかり始めました。参画企業の一つGEヘルスケア・ジャパンは早い段階から中心的メンバーに入ってもらっていますが、彼らの参画によってさらに注目が集まるようになり、いまでは花王やライオン、イオン、楽天はじめ実に多種多様な約50に及ぶ企業・大学などが参画しています。

 食品や栄養の分野では、花王が「スマート和食」というものを開発し、それを3つの企業に3カ月間お弁当という形で提供し、健康にどういう良好な影響を与えるか追跡しています。それと同時に、お弁当というツールを通じて健康教育にも取り組んでいます。

 教育事業の分野ではベネッセホールディングスが、青森県黒石市の学校に健康教育プログラムを提供する実証研究を始めました。彼らは教育現場や保護者を巻き込むノウハウを持っており、「メタボくん」というキャラクターを開発して、健康教育の自学自習の力を育てる主体的な活動を行っています。

 流通分野では、楽天が運営するサイト「楽天レシピ」のなかで、料理研究家の浜内千波氏に協力してもらい、油・糖・塩を減らす「3ダウンレシピ」のコンテストを行っています。医学や栄養学の専門家がレシピを考えると、どうしても栄養学に照らし合わせて理屈から入ってしまうため、一般家庭でつくりにくく、あまり美味しくないレシピになりがちです。発想を変えて、一般からレシピを募ったところ、2000近く集まったそうです。それを栄養士や料理研究家などのプロが判定するという形は、いままでにないユニークな取り組みだと思います。

 同じく流通分野のイオンリテールは、イオンモールという施設を活用して、「モールウォーキング」という企画を実施しました。モール内を歩くとタッチポイントごとにWAONポイントがたまる仕組みで、利用者に歩いてもらうことで健康増進を図るものでした。この取り組みのおもしろいところは、単に利用者の健康増進を促すだけでなく、消費行動にも変化を与えたことです。参加者は健康志向の高い物を購入し、それがイオンリテールの良好なブランディングにもつながったようです。

――全体として一つの方向を目指しながら、各企業が主体的に活動するという形は興味深いですね。

 弘前大学COIの参画企業の特徴的なところは、大規模健診のデータ採取に参加してもらっていることです。たとえば花王は「ヘルシア」の開発で内臓脂肪に関する研究の蓄積があり、パナソニックと共同開発したベルト型の内臓脂肪計でデータを測定しています。ほかにもカゴメには抗酸化関連の測定、エーザイには認知症関連、ライオンには歯科口腔関係など、それぞれの得意分野で貢献してもらっています。

 やはりイノベーションを起こすためにはいろいろな分野の人たちが交わる必要があるので、そこは意識してオープンな体制をつくっています。

 一つ言っておきたいのは、コンソーシアム的な組織に名前だけ連ねるような企業は弘前大学COIには一社もありません。参画するからには必ずビッグデータを活用した研究テーマを持ち、プロジェクトにしっかり貢献してくれる企業だけを選んでいます。