教育のミライに向けて

星:現在船橋さんが携わっていらっしゃるプロジェクト「株式会社あしたの寺子屋」の背景には、どのような問題意識がありますか。

船橋:日本には約1700の市町村があります。そのうち約1000は人口3万人未満です。このような場所では経済合理性の観点で大手の学習塾も参入しないので、子どもたちの居場所は学校と家庭だけになりがちです。

しかし、中央集権的な教育は平均値に合わせる教育でもあるので、どうしても、勉強についていけない子、反対にクラスメイトより先に進んでしまう子、不登校の子といった既存の学校システムになじめない生徒が出てきます。

一方で、昨今、家庭にも虐待など様々な問題がある。こうした子たちにセーフティーネット、サードプレイスを用意したいという思いからスタートしました。

加えて、過疎地には情報、意識、経済の格差があり、子どもたちが地域の大人から得られる情報は非常に限定されています。そこで、子どもたちをオンラインでもつなぎ、地域格差を超えてダイレクトに情報を届け、豊富な選択肢を提供するのがこのプロジェクトの狙いです。子どもたちは学びたいコンテンツを自分で選び、他の地域の子どもとつながることもできる。さらに、オンライン上で「トビタテ!留学JAPAN」の留学生が部活の顧問になったり、住んでいる地域以外の大人が様々なロールモデルを示したりする。

一番大事なのは、答えのない世界において、自分のやりたいこと、好きなことを白いキャンバスに描けるように、羅針盤を描けるように、自分の軸を見つけさせてあげることです。

星:非常に共感するところばかりですね。実は私も、先日雑誌の取材で、もし次にオンライン学校をつくる機会があるとしたら、どのような学校をつくりたいかという質問を受けまして、過疎地の子どもたちのためのオンライン学校をつくりたいと答えたんですよ。

船橋:よかったら星さんも「あしたの寺子屋」で授業をしてくださいよ。

星:ええ、喜んで。本日は刺激的なお話をありがとうございました。

船橋:ありがとうございました。