『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、どんなチームや企業にも存在する「組織文化」をテーマに、それを知り、変え、進化させていく方法を紹介しています。「組織文化」とは何か明確に定義できる人は少ないはずです。昨日は「「組織文化」、あなたは明確に定義できますか?」で組織文化について図を用いて分かりやすくお伝えしました。今回は組織文化を知ることのできるあるモノの考え方についてご紹介します。

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 組織文化とは何か。そんな問いに対して、最近ではこう説明しています。

「組織文化とは、組織で働く人々が何となく共有している価値観や雰囲気、クセのこと」

「社内の誰かを見て、あんなふうに仕事をするのは格好いいな、自分もあんなふうに働きたいなと、組織の中の人が共通して思う姿のこと」

「格好いい」は価値観です。この価値観を評価し、自分も同じように仕事をしたいと思う人が組織の中で増えていくと、その「格好いい」は組織文化になっていきます。

 ところが、何が格好いいのかという具体的な言動は明確には言語化されていません。

 先進的なプロダクトを生みだすことを格好いいと思う組織もあれば、誰にとっても使いやすくて売りやすいプロダクトを開発することが格好いいと考える組織もあります。とにかく新規顧客を増やして売り上げを伸ばすことが評価される組織もあれば、契約数よりも社会的認知度の高い大企業から受注することを良しとする組織もあるでしょう。

 象徴的なのが、アップルとアマゾンの対比です。ベン・ホロウィッツ著『WHO YOU ARE』に、こんな表現があります。

「アップルの文化は、アマゾンでは絶対に通用しない。アップルでなにより優先されるのは、世界一美しいデザインを生み出すことだ。50億ドルもかけておしゃれな新本社ビルをつくったのも、デザインに対する彼らのこだわりをさらに強く打ち出すためだ。それとは対照的に、アマゾンのジェフ・ベゾスは『他社の利幅が大きなところに、自分たちの商売のタネがある』と言う。この主張をさらに強調するために、ベゾスはすべてに倹約を徹底し、社員には10ドルのデスクを使わせていた。どちらの文化もうまくいっている。アップルはアマゾンよりはるかに美しいプロダクトを生み出し、アマゾンはアップルよりも圧倒的に安いプロダクトを提供している」

 アマゾンから見れば、アップルが50億ドルもかけて新社屋を建設することなど、不合理の極みでしょう。逆にアップルから見れば、アマゾンがデザインを生みだす社員に10ドルのデスクを使わせることなど、言語道断のはずです。

 同じ業界の企業でも、その組織文化はまったく異なります。たとえば、総合商社の伊藤忠商事と三井物産、三菱商事。航空会社の全日本空輸と日本航空、鉄道会社ならJR東日本とJR東海、JR西日本は、それぞれ個性が異なります。

 同じようなビジネスモデルで、同じような事業を営みながらも、なぜかそれぞれの組織に漂う空気や、その中で交わされている会話が違うのです。それは、組織の中で無意識のうちに共有される価値観、つまりは組織文化が異なっているからです。

『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』第二章より抜粋、2021年4月1日公開記事へ続きます)

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