自分で直接現地に足を運び、調べて、物件を検証する

 留学のための受験も、もう一度英語の基礎づくりからやり直しを図り、さらにハーバード大学デザイン大学院(GSD)の現地を訪れ、その半年間で徹底的にリサーチを行い、師事したい教授陣にも会い、Face to Faceで自分の経験とこれから研究したいことをぶつけた。

 実は、僕が2014年に受験した学科は、少し研究内容がずれており、ど真ん中の受験すべき学科は「不動産デザイン学科」だということがこの時にわかったのだ。現地に足を運び、生の情報を確かめるという姿勢は、奇しくも不動産投資で必須の、人から聞いたものやネットに落ちている情報ではなく、自分で直接足を運び調べて物件を検証するというものと同じだった。

 そこで、受験プロセスをもう一度見直し、準備万端で自分のアカデミック・ゴールを実現してくれる不動産デザイン学科への準備を進めた。

 その間、家族と先輩大家からの精神的な支えもあり、何とか建設途中で放棄された現場を引き受けてくれる建設会社を見つけ、自身で何度も現場に通い、職人とも話しながら、建物を完成させていった。

 そして年が明けて2016年1月に新築投資物件の第1棟目が、やっとの想いで完成にいたった時は心底安堵した。順調に賃貸付けも進み、非常にいい住人と飲食テナントにも恵まれて、いい建物を苦労して創ったことの波及効果を噛み締めていた。

 余談だが、GSDの受験にはポートフォリオ(デザイン実務の作品集)提出が求められる。せっかくなので、提出する作品集の中に苦心の末に完成しようとしている物件の工事現場写真も盛り込んだ。

 3月に合格のオファーをもらった時には、妻と抱き合い、苦労を振り返りながら涙して喜んだ。