リモートワークが長期化している今、わかりあえない上司と部下の「モヤモヤ」は最高潮に達しているのではなかろうか。さらに、経営層からの数字のプレッシャーが高まる一方で、
「早速夜更かししそうなくらい素晴らしい内容。特に自発的に動かない組織のリーダーについてのくだりは!」
「読み始めていきなり頭をパカーンと殴られた。慢性疾患ってうちの会社のこと? すべて見抜かれている」
「『他者と働く』が慢性疾患の現状認識ツールなら、『組織が変わる』は慢性疾患の寛解ツールだ」
「言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れる体験は衝撃でした」
職場に活気がない、会議で発言が出てこない、職場がギスギスしている、仕事のミスが多い、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い……これらを「組織の慢性疾患」と呼び、セルフケアの方法を初めて紹介した宇田川氏。我々は放置され続ける「組織の慢性疾患」に、どんな手立てを講じられるのだろうか。著者の宇田川氏を直撃した。
「反転の問いかけ」とは
2 on 2は、慢性的に生じる問題のメカニズムを知り、どこから手をつけていくかを探る方法です。しかし、長い時間をかけて慢性化した問題を解き明かすのは容易ではありません。
そこで、問題を「反転」させ、「他部門で同じ問題を発生させるにはどうするか?」など、同じ問題を発生させる問いを考えてみます。
次の3つの問題を「反転」させてみましょう。
「反転の問いかけ」の例
問題1:「部下が私の指示に従わないことがある」
反転1:「部下があなたの指示にまったく耳を貸さない状態にするには、どんなことができますか?」
反転2:「新人を上司の指示に従わないよう育て上げるには、どんな経験を積ませることが有効でしょうか?」
問題2:「自分一人で仕事を抱え込み、成果が挙がらない」
反転1:「他の人があなたの仕事に一切手を出せない状態にするには、どんな工夫ができますか?」
反転2:「部下や同僚にも、仕事を抱え込んでもらうには、どんなふうに教えますか?」
問題3:「重要懸案事項があるのに、互いに忖度して意見を言わない」
反転1:「互いの顔色を気にし合って必要なことを言わないチームになるために、あえてやったほうがいいのはどんなことでしょうか?」
反転2:「新人マネジャーに大事な問題をさらに先延ばしにするチームをつくる方法を教えるとしたら、何をどう教えますか?」
反転することで、問題そのものより発生プロセスに目が向くようになります。また、自分がその問題とどう関わっているかが見えてきます。
本書では、「反転の問いかけ」について具体的に解説しました。ぜひお読みいただき、企業現場で活用いただけたらと思います。
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経営学者/埼玉大学 経済経営系大学院 准教授
1977年、東京都生まれ。2000年、立教大学経済学部卒業。2002年、同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。2006年、明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。
2006年、早稲田大学アジア太平洋研究センター助手。2007年、長崎大学経済学部講師・准教授。2010年、西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。
専門は、経営戦略論、組織論。ナラティヴ・アプローチに基づいた企業変革、イノベーション推進、戦略開発の研究を行っている。また、大手製造業やスタートアップ企業のイノベーション推進や企業変革のアドバイザーとして、その実践を支援している。著書に『他者と働く――「わかりあえなさ」から始める組織論』(NewsPicksパブリッシング)がある。
日本の人事部「HRアワード2020」書籍部門最優秀賞受賞(『他者と働く』)。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。