時代や環境変化の荒波を乗り越え、永続する強い会社を築くためには、どうすればいいのか? 会社を良くするのも、ダメにするのも、それは経営トップのあり方にかかっている――。
前著『戦略参謀の仕事』で経営トップへの登竜門として参謀役になることを説いた事業再生請負人が、初めて経営トップに向けて書いた骨太の経営論『経営トップの仕事』がダイヤモンド社から発売。好評につき発売6日で大増刷が決定! 日本経済新聞の書評欄(3月27日付)でも紹介され大反響! 本連載では、同書の中から抜粋して、そのエッセンスをわかりやすくお届けします。好評連載のバックナンバーはこちらからどうぞ。
企業のビジョンとは社員が共有し、
語れる「方向性を持った力(=ベクトル)」
何かの節目に、トップが「今後の自社のビジョンを描いておきたい、まとめておきたい」と思うことがあります。
(1)一所懸命に自身が会社を引っ張ってきて、今後、自分の会社はどの方向に向いていったらいいのかを、改めて言語化しておきたいと思う時
(2)次の世代への引き継ぎを意識し始めた時、その指針のようなものを描いておきたいと考えた時
(3)代替わり、経営者の交代などで、これまで自社が大事にしてきたものを言語化したいと考えた時
などが、そのタイミングです。
そのために、費用をかけて広告代理店などを使ってまとめてもらう企業もありますし、社内でプロジェクトのようなものをつくって議論を行い、あるいは役員や次世代の役員候補が何度か合宿を行い、自分たちのありたい姿を描く例もあります。
しかし、多大な費用や時間をかけて作成した「ビジョン」がその後、有効に使われているかというと、なかなか、そうはなっていないのが現実です。
なぜ、わざわざお金と時間をかけてまとめた「ビジョン」が、使われないものになってしまうのでしょうか?