「ビジョン」と言えるものは、
社内で共感が得られるものでなければならない

 さらによく考えてみれば、粗利率は単にPL上の表記の話であって、一見、儲かっているように見えていても、在庫過多や過剰投資でキャッシュが枯渇してしまう場合もあります。

 後にこの会社は、粗利率の高いビジネスに巨額の投資をしてしまい、このワンマントップの個人所有の美術品を換金処分するに至ったと聞いています。

 この話からわかることは、「ビジョン」と言えるものに必要なのは、社内で共感が得られるものでなければならないという点です。

「我が社は、粗利率が高いビジネスを事業ドメインとする」

 をビジョンの中でうたってしまえば、

「うちの会社は金が儲かればいいのか」
「気持ちはわかるけど、そんなことをビジョンとして、うたうなよな」
「やっぱり、うちのトップは品位にかける」

 となってしまいます。