労働法の新常識#4
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会社を倒産危機に追い込む、驚異の未払い残業代請求。しかし、向井蘭弁護士の提唱する「完全歩合制」を導入すれば、窮地を乗り越えることができるという。特集『社長が知るべき!労働法の新常識』(全5回)の#4では、『社長は労働法をこう使え!』(ダイヤモンド社)の著者である向井氏への取材を基に、完全歩合制の導入方法6ステップ、経営者・労働者双方のメリットについて解説する。(ダイヤモンド編集部 塙 花梨)

運送業、病院、飲食店にも!?
完全歩合制が役に立つ職種

 労働者が会社に請求する「未払い残業代」。慣例的に時給換算以外の方法で残業代を支払っている企業が、気付かぬうちに法律違反をしてしまい、多額の請求に苦しめられるケースが後を絶たない。

 しかし、向井蘭弁護士が提唱する「完全歩合制」を導入すれば、時間外労働が必然的に多くなる業種でもピンチから脱することができるだろう。完全歩合制の考え方は本特集#3『残業代の未払い請求を防ぐ「最新対応策」、払った“つもり“が落とし穴!』で詳しく説明しているので、参考にしてほしい。

 完全歩合制は、もともと一部の運送業で導入されていた制度だ。ただ、これはあくまで業界の慣例で完全歩合制になっていただけで、未払い残業代請求の対策として、完全歩合制が導入された前例は、今のところまだ存在しない。

 しかし、この方法を導入すれば、本来支払わなければならない残業代の割増賃金が1.25%から0.25%になり、大幅にコストダウンする(本特集#3『残業代の未払い請求を防ぐ「最新対応策」、払った“つもり“が落とし穴!』参照)。合法でありながら、残業代を圧倒的に少額で抑えることができるのだ。

「私のところに相談に来るのは、運送会社が圧倒的に多い。また、最近では病院などの医療法人も検討している」と向井氏は言う。実際、向井氏が運送業の経営者を対象にしたセミナーを開けば、300人も集まってしまうほどの関心の高さだ。

 他にも、居酒屋などを営む飲食店の店長、新聞社や出版社などのマスコミ業の編集職など、時給よりも成果を重視する給与体系の方が合うため、親和性が高い。

完全歩合給制を導入する6ステップ
これさえ押さえれば、もう安心!

 さて、ここからは、実際に完全歩合制を導入しようとした場合に、どのような手順を踏めばよいのかを解説していこう。