大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始めた。その10年後に資産1億円を達成、FIRE(経済的自立と早期リタイア)を果たした。著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、年代別の投資指南から最強の投資先10銘柄に至るまで、“初心者以上マニア未満”の個人投資家に再現可能な投資法を徹底指南している。
会社関連以外の人間関係を構築
私は40歳のときに、50代前半でのリタイアが果たして可能なのかを考え始め、次の4つの問題をクリアする必要があると思いました。そのすべてをクリアできたから、予定を1年前倒しにして早期リタイアを果たしたわけです。
早期リタイアを検討するうえで、いちばんの課題となるのは「お金の問題」です。それについては、項目をあらためて詳しく検証します。
2つ目は「生き甲斐・やり甲斐の問題」。会社ひと筋で仕事が生き甲斐のような人は、退職後に生きる目的を失い、鬱っぽくなるケースも多いようです。私は会社も仕事も嫌いではありませんでしたが、それ以外にも読書・音楽・映画・旅行、そして投資と、多くの趣味や「やること」がありました。
早期リタイア後は好きなことに時間を割けるようになるのですから、生き甲斐もやり甲斐も尽きることはないと楽観していました。これといった趣味がない人でも、好奇心さえ失われなければ、自然に何かやりたいことが見つかるのではないでしょうか。
お金の問題を除くと、3つ目の「家族の問題」がとても重要です。独身なら問題になりませんが、家族持ちには早期リタイアに対する配偶者の理解は欠かせません。
私は早期リタイアを決める前から、妻に株式投資について理解を求めていました。株式市場の暴落がニュースになったときは、余計な心配をかけないように、「市場は混乱しているけど、僕は大丈夫だから」と伝えていました。
早期リタイアが現実味を帯びてからは、なんのための早期リタイアかという目的を伝えて、経済面の心配はいらないという根拠を示して理解を得ました。早期リタイアを許容して応援してくれた妻には、心の底から感謝しています。
最後は、「友達の問題」です。骨の髄まで会社人間で、友人関係も会社関連に限られているとしたら、早期リタイアした後の人間関係が希薄になる恐れがあります。
私は会社を早期退職する前から、読書会や映画鑑賞会などのコミュニティを主催してきたので、趣味を介した友人関係がありました。いまだに旅行に誘ってくれる学生時代の友人もいます。こうした会社関連以外の人間関係を構築しておくことも大切だと思います。