トラブルに効く最強ツールとは?

 遺産分割協議は、確かに口頭だけで成立するのですが、後々になって「そんな約束はしていない」と言われてしまうと、口頭で遺産分割協議がされていたことを立証するのは極めて困難です。

 今回のケースにおいて、もし裁判を起こしたのなら、姉の意見が有利になるでしょう。こういった事態を避けるためにも、遺産分割の内容が決まったら必ず遺産分割協議書を作るようにしましょう。

 下記は、国税庁が公開している遺産分割協議書のサンプルです。

相続の「言った・言わない」トラブルに効く最強ツール

 遺産分割協議書とタイトルをつけ、誰が何を相続するかを明確に記載しましょう。

 不動産は「自宅」のような抽象的な表記ではなく、登記簿謄本に記載されている通りに書きましょう。そうでないと、不動産の名義変更をする際に、法務局で受理してもらえません。

 書面の作成はパソコンでOKです。氏名は印字(記名)でも構いませんが、できれば直筆で署名したほうがいいですね。押印は必ず実印を使うようにしましょう。

 また、「後日、この遺産分割協議書に記載されていない遺産が見つかった場合」の取り扱いを明確にしておきましょう。特定の相続人に相続させる場合は、その旨を書いておきます。そういった指定がない場合には、新たに見つかった遺産は、再度、相続人全員の話し合いで誰が相続するかを決めることになります。