これに対して「励まし」は、「(自分が見込んでいるあなたなら、もしかすると最終面接や人事の面接で決定権のある人が採りたいと思ってくれるかもしれないから、そうだとしたら)大丈夫だから」というニュアンスであり、最終決定権がないリクルーターや人事担当者から発せられるものです。

 学生がそう言われ、受かったものとばかり思って6月1日に面接に行くと、あっさり落とされることも十分あり得ます。つまり全然大丈夫ではないのですが、リクルーターレベル、最終決定権のない担当者レベルの人たちが発する「大丈夫」には、自分が目をかけた学生に「これまで通り話してくれればきっと大丈夫だよ」という純粋な応援の気持ちが込められています。だから彼らの言葉は、単なる「励まし」と捉えるのが妥当なのです。

 このように、「大丈夫だよ」と言われたときに、学生は相手の立場や状況やニュアンスから、「ささやき」なのか「励まし」なのかを見極めなければならないのです。人材サービス会社などが公表する就活のアンケート調査結果では、この3つを混同して、勝手に「内定した」と思い込んでいる学生の回答が多いのです。それで、後になって「内定を取り消された」と勘違いする学生が出てくるわけです。

 しかし、「ささやき」と「励まし」の場合、企業は一言も内定とは言っていませんし、もちろん文書やメールにも残していません。しかも「大丈夫だよ」と言われたとしても、それが「励まし」の意味ならば、実際には内定していないことのほうが多いのです。この違いを事前に知っておかないと、多くの学生は「大丈夫だよ」と言われた段階で勘違いし、内定していないのに就職活動を終了してしまうという悲劇にも陥りかねません。大変酷な話ですが、就活では極めて高度な心理的かけひきが行われており、学生は企業側の微細で微妙なニュアンスを読み取って行動しなければならないのです。

23年卒の就職活動ロードマップ
重要な意味を持つ「夏のインターン」

 2023年卒の今後1年間の動き方は、以下の表の通りです。夏のインターンは3~5日の複数日程で行われ、企業が欲しいと思う優秀人材との出会いを求める場所です。なお、オンライン化でインターンシップは短くなる傾向にあります。パソコンの前に担当者と学生が9時から17時まで長時間張り付いていなければならないのは、双方にとってあまりにも負担が大きいからです。ちなみに、秋冬のインターンは広報的な役割を兼ねたものもあり、ワンデープログラムが多くなります。

就活生が陥る「内定」の落とし穴、知ると差がつくコロナ2年目の採用裏事情