夏のインターン、そして秋冬のインターンでも、企業は優秀な学生に目をつけ、「ささやき」ます。そして以後、翌年3月1日のエントリーシート(ES)解禁までフォローすることになります。冒頭で述べた、事実上存続している「就活ルール」では、3月1日に学生が初めて企業に対して応募意志を表明できるからです。夏のインターンで目をかけた学生の場合、企業はこの時点まで8カ月近く連絡を取ったりして繋ぎ止め、フォローしておく必要があるのです。
内定を早く出す
先行逃げ切り型企業の思惑
さて、ここで「本内定」を早く出す業界や企業にはどんな傾向があるのかを、見ておきましょう。就職協定や就活ルールの枠外にあった外資系企業、マスコミ・テレビ局などは、伝統的に早く内定を出しています。そのほか、IT系の中堅有名企業、業績がよく勢いのあるスタートアップも早い傾向があります。
それ以外で早めに内定を出す企業は、内定を出しておかないと採用を確保できない企業です。私はこれを「先行逃げ切り型」と呼んでいます。
一般的に内定を出すと、学生は安心してしまって、そこより志望順位が低い企業はわざわざ受けません。その企業より志望順位が高い企業は「記念受験」として、宝くじに当たるようなつもりで応募することがありますが、確率的に考えれば、その企業で内定をもらえることはあまりありません。結局、最初に内定をもらった企業に入社する可能性が高いのです。
そうした企業はたいてい、自社を魅力的に見せるのがうまいものです。たとえば、自社サイトの採用ページのコンテンツをしっかりつくっていたり、B to C企業の場合は学生が消費者として接したときにアプリなどの使い勝手がよかったり、インターンシップの内容が充実して見えたりします。そうした工夫により、超大手有名企業でなくとも旧帝大卒を100人以上採用している企業もあります。それに対して旧来の大手企業は、前述したとおり、6月1日までは「ささやき」と「励まし」がほとんどです。