ぜひサラリーマンをしているいまのうちに、好きなことを始める準備を整えましょう。何年も会社で頑張ってきた方は、ある意味、その道のプロです。もし現在の仕事がつまらないのであれば、自分の好きなことや趣味を生かして将来自立することを考えてみてください。資格さえ取れば、すぐに自宅で開業できる士業もあります。
身近な例でいえば、私のまわりには、アパート経営を始めて「自分株式会社」(自分の会社)を設立し、悠々自適な生活をエンジョイしている方が大勢います。いまや株式会社は資本金1円からつくれるのです。課税所得800万円以下や400万円以下の中小企業(資本金1億円以下)には、数々の優遇税制が認められていますし、法人で資産を取得するようにすれば、相続税の心配もいらなくなります。
さらにここだけの話ですが(笑)、「自分株式会社」をつくる最大のメリットは、自分に役員報酬をたくさん払って法人税をゼロにできることです。役員報酬は会社の経理上損金になります。結果、会社が赤字になって法人税はゼロ、または過去に払った税金が還付されます。社長個人には、役員報酬をたくさんもらった分、所得税がかかりますが、給与所得控除というサラリーマンの必要経費相当分が控除され、残りの部分に所得税が課されます。つまり、会社で一度まるまる損金控除して、さらにそれを個人で受け取って所得控除できるわけですから、いってみれば、「控除の二重取りシステム」なのです。この制度こそ、国が公然と認めている最強の錬金術といえます。
国税庁の2012年度分会社標本調査結果によると、全国の法人253万5272社のうち、赤字の法人は177万6253社と70.3%にも及んでいます。法人税の仕組みを知れば、こんなにも赤字企業が多い理由がすぐにうなずけると思います。
それに対して、個人事業主では、単に経費を差し引いた残りに税率をかけて所得税を計算しますので、自分の給料まで損金として差し引くことはできません。これが法人との大きな相違点です。
本書では、サラリーマンが個人で副業を始めて、あえて役員1人だけの自分株式会社をつくり、法人を利用して有利に資産形成と節税を図る方法について書かせていただきました。日本では今後ますます個人への課税が強化されることが予想される以上、個人でも自分株式会社をつくって、来る増税に備えてほしいのです。
いまは一介のサラリーマンであったとしても、実はサラリーマンこそ社長になる一番の近道です。ぜひ自分株式会社の代表取締役になって、楽しい社長生活を満喫しながら資産形成と資産保全を図っていってください。