読書によって「認知能力」「非認知能力」ともに身につく

 生活言語は自然に身についていくが、学習言語を身につけるには、それなりの経験が必要となる。そこで問われるのは、どれだけ本を読んでいるかということである。

 読書には、語彙力や読解力を発達させ、思考力や想像力を高めさせるという効用があるばかりでなく、根気強さを培うという効用もある。本を読む際には思考力や想像力を駆使しながら文章から具体的場面を想像力によって立ち上げたり、作者の言いたいことを論理的にたどるなど、かなりの知的努力を必要とする。それを継続するのは根気を要する。

 また、読書には、さまざまな立場や性格の登場人物に触れたり、これまで出会ったことのない価値観をもつ作者に触れたりすることで、いろんな人間の思いを想像することができるようになり、共感性が高まるといった効用もある。読書を通して多様な他者を理解できるようになる。

 このように読書には、語彙力や読解力のような認知能力を高めるという効用だけでなく、根気強さや共感性といった「非認知能力」を養うという効用もあるのだ。