ネットフリックス、アマゾンから予想される「音楽ビジネス」の未来とは?Photo: Adobe Stock

不透明性が高まるいま、「人々を熱狂させる未来」を“先取り”し続けてきた音楽に目を向けることで、どんなヒントが得られるのだろうか? オバマ政権で経済ブレーンを務めた経済学者による『ROCKONOMICS 経済はロックに学べ!』がついに刊行となった。自身も熱烈なロックファンだというの経済学の重鎮アラン・B・クルーガーが、音楽やアーティストの分析を通じて、ビジネスや人生を切り開くための道を探った一冊だ。バラク・オバマ元米国大統領も、この「ロックな経済学(ROCKONOMICS)」に強い関心を示しており、本書に熱い絶賛コメントを寄せているという。本記事では同書の一部を抜粋して紹介する。

やっぱり世界は狭いとこ
──ストリーミング経済の仕組み

 ストリーミング・サービスがこれからどうなるか、確かなことは誰にも言えない。

 でも変わっていくことだけは確かだ。

 映画のストリーミング・サービスと映画の制作を両方やる例(ネットフリックス、アマゾン、ディズニー)を見ると、音楽もそういう方向へ向かうのかもしれないと思う。

 未来の音楽は他のエンタテインメントの番組とセットになるなんて予想しても、そうそう的外れじゃないだろう。

 つまり映画やスポーツ、テレビ番組なんかだ。アマゾン・プライムがそうだ。

 ネットフリックスやアマゾンの映画を見本に、スポティファイやアマゾン、アップル・ミュージックといった配給会社が独自のコンテンツを作ろうと頑張っているのを見るとそんな気がする。

 もしそうなったら、音楽業界の経済学はまたしてもひっくり返るだろう。

 ストリーミング・サービスで、新しいミュージシャンはレコード・レーベルなんかに頼らなくても、彼らを押しのけてもっと幅広い聴き手に音を届けるチャンスを得た。

 新しい会社が出てきてこのチャンスに乗っている。

 第8章ではレヘゴーにあなたを引き会わせる。イタリアとアメリカの起業家が2014年に創った会社で、埋もれているミュージシャンと手を携えて、彼らの音楽をよりよくして市場に出し、ストリーミングで流している。

 これまでのところ、彼らの音楽は100億回以上視聴されている。

 長い尻尾(ロングテール)がミュージシャンにもっとチャンスを提供することがあるとしたら、それはレヘゴーみたいな技術革新のおかげだろう。

 どこへ行っても経済はルールの上に成り立っている。

 そういうルールで重要なのが、財産権をどう定義し、どう配分し、どう守るかである。

 ある製品や資源を持ち、使う権利は誰にあるか、その権利をどうやって取引するか、そしてどう保護するかということだ。

 音楽稼業だと、核になっているのは、著作権法の下で音楽を使う権利をどう認めるかという一連のルールである。

 ミュージシャンやレーベルは音楽を創る。音楽には著作権がある。

 音楽のいろんな使い方にはそれぞれ別々に使用許諾が必要だ。たとえば同期ライセンス、いわゆるシンクロ権は映画やビデオで音楽を使うときに必要な権利だ。

 音楽のシンクロ権を統べる法律はストリーミング以前からもう時代遅れの代物で、今ではいっそう時代遅れになってしまった。

 2018年に音楽近代化法と呼ばれる法律が施行されたのにその体たらくだ。

 第9章で、どうして音楽では使用権が大事なのか、どんなトレードオフがつきまとうのか、そして使用を許諾する手順をストリーミングの時代に合わせてどう改善すればいいかを説明する。

(本原稿は『ROCKONOMICS 経済はロックに学べ!』(アラン・B・クルーガー著、望月衛訳)からの抜粋です)