オリジナルのフレームワークで
意識すべきこととは?
オリジナルのフレームワークを検討する際には、その項目の重み(重要性)も意識します。モレがないことも重要ですが、あまり些細なことまで取り上げようとすると時間を浪費しますし、費用対効果も悪くなるからです。当然、上述したように万人にとって同じ重みを持つものになることは実際にはなかなかないですが、なるべく多くの人がそれを聞いて(見て)納得感が高ければ、汎用性も高いということになります。多少の重みの違いは、あとで係数を掛けることなどで調整すれば十分です。
持ち家を買うシーンを想定しましょう。どのような枠組みで考えればいいでしょうか?「価格」や「立地」は当然枠組みの項目の上位に来そうです。一方で「町内会がない」はどうでしょう。これも人によっては気になるかもしれませんが、同列の項目かといえば違いそうです。「立地」という大項目の中の一項目と考えておけば十分でしょう。こうした細かい項目については、まとめて「その他」に括るという方法も有効です。ただし、「その他」の重みが全体の40%にも達するようだと、枠組みとしてはアバウトすぎです。その中で重要度の高い項目は切り出して独立で考えるのが適切です。オリジナルのものとはいいながらも、すでにある有名なものを援用したり、それをベースに追加したりするのも有効です。
たとえば、相撲の世界には「心」「技」「体」という有名な枠組みがありますが、これを自分の会社のあるべき姿に応用することもできそうです。以下のようなイメージです。
良き経営理念(心):社会的貢献を忘れず、信頼される会社であり続ける
良き戦略(技):環境変化を敏感に察知し、事業革新を起こし続ける。それに必要な経営システムを具備する
良き社員(体):向上心を持ち、チームとして結果を出せる人材を多数有する
良きネットワーク:顧客やサプライヤーも含め、良きエコシステム(生態系)を構築し、その中心に位置する
応用しやすい枠組みの筆頭はマトリクスです。これは2軸をとって、(多くの場合)2 × 2の合計4つのセルを作り、物事を考えます。
たとえば、「ジョハリの窓」というフレームワークは、自分について、1「自分が気がついている」「自分が気がついていない」という軸と、2「他人が気がついている」「他人が気がついていない」という軸の2軸で4つのセル(箱)を作り、自分の能力開発などに活用します。これをマーケティングに応用すれば、1「自社が気がついている」「自社が気がついていない」という軸と、2「顧客が気がついている」「顧客が気がついていない」という軸でアンケートなどを分析することで、自社の新しいブランディング戦略などに生かせるかもしれないのです。
問題を構造的に捉えたり、人に対する説得力を向上させる
①見落としをなくす
②バランス感覚が良い
③オリジナリティを出しながらも先人の知恵をうまく活用する
(本記事は『グロービス流「あの人、頭がいい!」と思われる「考え方」のコツ33』〔グロービス著、嶋田毅 執筆〕の抜粋です)