効率よく仕事を進めたい、アイデアがパッとひらめくようになりたい、うまい受け答えができるようになりたい…。身近にある「こうなりたい」の近道は、ずばり「考え方のコツ」を手に入れることだ。
『グロービス流「あの人、頭がいい!」と思われる「考え方」のコツ33』では、MBAのクラス、学者、コンサルタントなど、「考えることにこだわっている」人たちが日常で使っている、確実に生産性が上がる考え方のコツだけを紹介している。今回は本書から「分けて考えるコツ」を特別に公開する。(イラスト:fancomi)

圧倒的に“できる人”になる1つの考え方Photo: Adobe Stock

「分ける」は「分かる」ための第一歩

圧倒的に“できる人”になる1つの考え方

 物事を適切に分けることは、問題解決やマネジメントの基本です。それゆえか、分けることについての言い習わしは少なくありません。

「物事を適切にマネジメントするためには、マネジメントしやすいように小さく分けることだ」「困難は分割せよ」等々。

 大きな塊をぼんやり見ていては分からないことも、適切に分解すればその「肝」となる部分が見えてきますし、管理も容易になるのです。本項では、主に問題解決のシーンを意識して議論を進めます。

「良い切り口」を見つけるには?

 特に問題解決の場面では、問題の核心に迫る「感度の良い切り口」で切ることが必要です。冒頭のコミックでも、最初に試した切り口とは異なる切り口を試してみたところ、より問題の本質が浮かび上がるような結果につながりました。

 では、どうすれば感度の良い切り口を見つけることができるのでしょうか? 答えを言ってしまうと、まずは経験を積むこと、そして切り口の数を自分なりに増やすことです。言い方を変えれば、「この切り口を当てはめれば必ず問題の核心にたどり着ける」という便利なマニュアルはなく、試行錯誤してみるしかないということです。経験を積むことは、無駄な試行錯誤を減らすことにつながります。切り口をたくさん持つことについては、書籍などで勉強したり、実務で他人の技から学ぶしかありません。

 たとえば、売上げが減ってきたという問題があったときに、顧客層別(性別、年齢別、家族構成別など)、チャネル別、製品別などさまざまな切り口を試すことはできます。それで問題の在り処を発見できればいいのですが、過去に試したやり方では効果が出ないことが少なくありません。

 もしこのケースで、「最近、押しなべて顧客の使用頻度が減っている」ということが原因だとしたら、「売上高=価格×使用頻度×顧客数」という切り口を知らないと、問題の根源に気づけないということもあるかもしれません。「切り口」という武器は多く持っておけば「当たる確率」が増しますから、多いに越したことはないのです。

切り方にも意識を向ける

 切り方は切り口と似た言葉ですが、ここでは「ある切り口について、具体的にどのように切り分けるか」ということと定義します。

 たとえば、若者向けの商品の売上げを年齢別に分けるときに、「10歳未満、10代、20代、それ以上」と分ける方法は一般的です。一方で「12歳未満、12~15歳、16~18歳、19~22歳、それ以上」と分ける切り方もありそうです。これは、小学生、中学生、高校生、大学生、それ以上を意識した分け方です。商品によってはそうした切り方の方が感度のいい分析をできることもあるのです。

 もちろん、最初からそれが分かっていれば、顧客属性として「小中高大」の別を最初から取るべきなのですが、そうしたことに気づかず、年齢情報しかないこともしばしばあります。そうしたときに一工夫することで核心に迫れることもあるのです。

 別の例で、アンケートによく「未婚/既婚」の選択肢しかないことがありますが、これも切り方としては粗いケースがあります。たとえば、「未婚/既婚配偶者あり/離死別」という分け方をすることで、「このサービスは特に離死別をしたシングルマザーに強いニーズあり」ということが分かる場合もあるのです。