すると不思議なほど、自分の精神が安定し、日々起こる細かな出来事にいちいち心揺さぶられることがなくなりました。

 家族をはじめとする周囲との人間関係においても、不機嫌で不満や嫌みを口にする人が去り、誠実で家族のように信頼できる仲間が増えていきました。

 ビジネスにおいても、社員が自分事として仕事に取り組み、自分たちで役割を決め、ルールを定め、目標を掲げて、訪れる大小の波を自分たちの創意工夫で乗り越えて売り上げを伸ばすようになり、今では私がはじめた各社すべての事業承継を終え、住職としての職務に専念できるようになりました。

 私自身が変容していくにつれ、人々からの相談も数多く舞い込むようになっていきました。恋愛の悩み、健康の悩み、生きる意味がわからないという悩み、将来の夢が見つからないという悩み、経営の悩み、子育ての悩みなど、仕事の合間を見つけては、それらの相談に乗るようにしてきました。

YouTube チャンネル「大愚和尚の一問一答」を
はじめて気づいた4つのこと

 お釈迦様という、偉大な知恵者によって発見され、伝えられた「苦しみの手放し方」がある。

 一方で、仏教がそのような教えだと知らずに、人知れず心に葛藤を抱え、もがき苦しんでいる人々がいる。お寺とは何なのか、僧侶の役割とは何なのか。もっと積極的に、苦しみの手放し方としての仏教を人々に伝える努力をすべきではないか。

 そう思ってはじめた試みが、YouTubeという動画配信サービスを使った番組「大愚和尚の一問一答」です。

 家族にも言わず、弟子と2人で黙ってはじめた番組でしたが、4年経った現在では、28万人以上の方々が登録し、月5000人のペースでその数は増え続けています。

 この番組は、視聴者から届く人生の問いに対して、私が仏教や自身の体験をもとに処方箋としてのアドバイスをするというものなのですが、動画配信をしはじめて気づいたことが4つあります。

 1つ目は、「多くの人がウソや偽りを離れて、本当の自分をさらけ出したいと願っている」ということ。