3つ目は、「苦しみは、老若男女、世界共通」であるということ。
現在、一問一答の視聴者、相談者の年齢は、下は11歳から上は80歳を超えています。YouTubeの視聴者分析データと、皆様から届く相談やお礼の手紙からそのことがわかります。また、日本国内はもちろんのこと、海外の人々までもが仏教に人生の苦悩に対する救いを求めていることがわかりました。
YouTubeには外国語の字幕をつける機能が備わっているのですが、その機能を利用して、私の動画にボランティアで外国語の字幕をつけてくださる方々が次々と現れたのです。
気がつけば、英語、中国語、韓国語、ドイツ語、フランス語などの字幕がつけられた動画が増えていき、2019年の7月には、北米在住の方々からの要望により、ロサンゼルスで法話会も開催しました。
4つ目は「苦しみには共通したパターンがある」ということ。
一問一答の回答待ち相談数は、現在1300を超えています。週1~2回の配信ペースでは回答が追いつかない状況が続いています。中には「もう死にたい、ダメです」というような悲痛な叫びもあり、最初の頃は、一問一答の収録や配信に携わってくれているスタッフから、「配信ペースを急ぎましょう」という声があがっていました。
けれども、実はいつ配信されるかもわからないその「待ち時間」こそが、相談者の苦しみの探求を助けていることもわかってきました。
相談者の方々は、自分の相談への回答を待つ期間、すでに配信されている動画を見て、自身の苦しみに応用できる内容を探し続けるのです。
数々の動画を見ていくうちに、まず、苦しんでいるのは自分だけでないという事実に気づきます。
次に、他の人たちの相談に対する私からの回答が、そのままピッタリと自分の悩みに対する苦しみの手放し方であったりすることも多いようで、「私の悩みは、他の方へのあの動画で解決しました。ありがとうございました」というお手紙が届くのです。
どうやら「苦しみ」は自分だけのものではなく、そこに多くの方々に共通するパターンがあるようです。
この本には、これまで私が受けた悩み相談に対する「苦しみの手放し方」が書かれてあります。
人間関係の悩み、仕事の悩み、お金の悩み、経営の悩み、子育ての悩み、家族関係の悩み、恋の悩み、病気の悩みなど、50の事例が綴ってあります。
最初から最後まで、根を詰めて読む必要はありません。仕事で、家庭で、日々の生活の中で、何か自分の心に不安や不満、ストレスを感じたときに開いていただければ、そこに何かしら、苦しみを手放すヒントになる話を見つけていただけると思います。
本書が、読者の皆様のさまざまな苦しみを手放すヒントになれば、嬉しく思います。
大愚元勝(だいぐげんしょう)