今すぐできて「今後の人生に絶大な好影響を与える」1つの習慣Photo: Adobe Stock

スタンフォード大学の行動科学者であり、同大学行動デザイン研究所の創設者兼所長が20年かけて開発した「人間の行動を変えるメソッド」を公開した『習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』が刊行となった。本国アメリカではニューヨーク・タイムズ・ベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、すでに世界20ヵ国で刊行が決まっている。
「ダイエット」「勉強」「筋トレ」といった日々の習慣を身につける方法から、悪習をやめる方法、さらには他人の行動を変える方法まで、行動の変化に関するあらゆる秘訣を網羅した驚異的な一冊だ。
本記事では、ごく簡単でありながら、波及効果がきわめて大きい1つの習慣について、本書から特別に抜粋して紹介する。

小さな習慣が拡大して人生を変える

 習慣の規模が拡大する過程には、主に2種類ある。「成長」と「増殖」だ。

 私がこの文脈で「成長」という言葉を使うとき、習慣がより大きくなることを意味している。たった3回深呼吸するだけの習慣が毎日30分の瞑想になったり、キッチンカウンターを1ヵ所掃除するだけだったのが、キッチン全体を掃除するようになるといった例だ。

 行動の本質は同じだが、総量が増える。習慣が拡大するのだ。習慣が成長する様子を観察すると、それぞれが非常に大きくなっていくことに気づくだろう(植物と同じだ)。(中略)

簡単で効果絶大の「マウイ習慣」

 習慣が大きくなる2番目のパターンは「増殖」だ。

 これは、あなたが育んでいる習慣が、行動のより大きな生態系の一部になっていくという展開である。

 あなたの最終的な願望が「日々をより充実させること」だとして、最初の小さな習慣として「マウイ習慣」を選んだとしよう。これは朝目覚めて床に足をつけたら、「今日は素晴らしい日になるぞ!」と言う習慣だ。

(注:「マウイ習慣」については、本書では先に、以下のように説明されている。「もし『そんな習慣を実践したくらいで素晴らしい日になるわけがない』と思っていても、ぜひ声に出してやってみてほしい。私はひどく疲れていたり、打ちのめされていたり、その日に心配事が待ち受けていたりする朝でも、欠かさず口にしている」「不思議なことに、私にとっては最悪の日でさえ効き目がある。心配事が待ち受けている日でも、この言葉を口にすると、実際にいい一日を過ごせる扉がほんの少しだけ開く気がする」。「マウイ習慣」の詳細は前回の記事「『いつも三日坊主』になる人の残念すぎる考え方」を参照)

 これはある決まった状況においてのみ行う習慣なので、大きく「成長」することはない。

 それでも、「増殖」することはあり得るし、波及効果も期待できる。

 マウイ習慣はポジティブな感情を生み、そのおかげで意欲が刺激され、ベッドを整えるなど、朝のひと時にいい習慣をさらに取り入れようという気持ちになる。

 マウイ習慣を実践しながらほかの習慣を試すこともできる。出勤前に皿洗いをするとか、歯を磨きながら感謝すべきことを1つ思い浮かべるといったことだ。

 私がマウイ習慣を推奨するのは、このシンプルな行為が朝の時間帯のほかの課題に取り組む力になるからだ。朝の課題をうまくこなせると一日が上向きにスタートし、それによって気分も上向き、その後の仕事や生活においても生産性が高まるだろう。

 マウイ習慣のポジティブな波及効果の報告を聞くと、この習慣はあまり「成長」はしないが「増殖」するのは明らかなようだ。ちょうど花の種が風に運ばれ、ほかの場所で美しい花を咲かせるのと同じである。

 マウイ習慣のようなタイプの小さな変化は、簡単に身につけられ、自然と積み重なってあなたの一日を変えることになる(ベッドからもすんなり出られるようになるはずだ)。

 習慣のデザインを始めるときに明確な願望があれば、おのずと自分に適した「成長する習慣」と「増殖する習慣」に取り組むことになるだろう。

 あなたの大きな願望の1つが「マラソンを完走すること」だとすれば、〔本書のメソッドで習慣を身につけるのであれば〕まず、ウォーキングかランニングに関係する習慣を少なくとも1つは取り入れるはずだ。これは「成長する習慣」であり、やがて距離が延び、速さも増していく。

 そして同時に、もっと水を飲むとか、食事に新鮮な野菜を取り入れるといった「増殖する習慣」にも取り組むようになるだろう。そうした習慣は自然と増殖し、あなたは栄養にまつわる習慣をさらに取り入れるようになる。

 それらがすべて組み合わさり、あなたはマラソンを完走するという願望の達成へと近づいていくのだ。

(本原稿は『習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』(BJ・フォッグ著、須川綾子訳)からの抜粋です)