ポルヴー教授の伝説の授業

 授業は、事前に与えられたニューヨーク・マンハッタンの先端にあるバッテリー・パーク・シティについてのケースとボストン・ファン・ピア(埠頭)開発についてのケースを読み込んだ上で、自分なりのBOE分析を行い、比較検討し、判断を下すものである。

 ポルヴー教授を囲む生徒。伝説の授業に相応しく、他の学科の先生方も我先にと参加する。

 実際にそれぞれのプロジェクトは不動産事業として、段階的な紆余曲折を20年間経ながら、光と影の部分を包含し、今の姿へと至っている。

 その中で、各段階で関わったプレイヤー(デベロッパー、金融、行政、パートナー企業、テナント、地元)がどのように行動し、その結果どういう事態が引き起こされたかを描いていて、ケースを読んでいるだけでもドラマのようである。

 クラス内ではポルヴー教授が、歩き回りながら、次々に生徒を指してゆき、BOE分析を黒板に書き殴りながら、プレイヤーとしての判断を求めてゆく。

 さらにWhy? and Why?(なぜ? で、なぜ?)と答えを追求してゆき、プレイヤーの心理や関心をあぶり出す。そして、実際に各プレイヤーが取った判断や行動を最後に紹介する。

 印象深かったのは、不動産の大きな潮流を考えるうえで、教授の示すタイムフレームである。

10年のマーケットサイクルと5年の人間の記憶のサイクルで不動産は動いている

 という金言だ。

 確かにここ20年の不動産のサイクルを見ても、また長期的な不動産開発プロジェクトにおいてもこのマーケットのサイクルが当てはまる。人間の記憶のサイクルというのも納得できる。リーマンショックから立ち直りアベノミクスが景気を持ち上げたころには、銀行の不動産融資に対する態度も完全に5年前の記憶などなかったことのように積極的だった。

 次のサイクルは、2018年から2020年だろうとポルヴー教授は予測していたようだった。

 熱狂さめやらぬ中で、生徒からの質問が相次ぎ、時間切れとなり授業自体はあっという間に終わってしまったが、授業後に早速、ポルヴー教授に購入した訳本を握りしめ駆け寄った。そして、自身が不動産の魅力に気づくきっかけを与えてくれたことへの御礼を述べ、固く握手を交わした。

 教授も日本語版を出したときのことを思い出して喜んでくれたことはよかった。もちろん、サインをいただき記念撮影。感無量である。

 不動産開発に対する、深いが直球でシンプルな洞察や「Why?」を問い続ける姿勢、そして実業家としても数々の成功を収めてきた師から学んだことを、これからの不動産投資活動にぜひ活かしたい。

上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。
鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。
1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。
大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。
同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。初の著書に『ハーバード式不動産投資術 資産26倍を可能にする世界最高峰のノウハウ』(ダイヤモンド社)がある。