どんな時代でも生き残れる不動産投資家になるための極意とは何か? 不動産投資で利益をあげ続けるためには、基本となる知識やノウハウを学ぶ必要があります。ハーバード大学デザイン大学院で最先端の知識を学び、それに自身の体験から得たノウハウをミックスして体系化したハーバード式不動産投資術』(上田真路著、ダイヤモンド社)が発売されました。本連載では、世界のどこでも通用する、遍的で再現性のあるナレッジである不動産投資術について、同書の中から抜粋してそのエッセンスをわかりやすくお届けします。良い不動産をデザインするとは、どういうことか? 驚異のリターンを実現するファイナンスの極意とは? 不動産投資のリスクをどうコントロールしたらいいのか? などについて、実際の事例(ケース・スタディ)を踏まえてそのメカニズムを解き明かしていきます。不動産投資を始めたいと思っている人、すでに始めている人、さらに上を目指したい人必読です。好評連載のバックナンバーこちらからどうぞ。

ハーバード伝説の授業、<br />10年のマーケットサイクルと<br />5年の人間の記憶サイクルとは?Photo: Adobe Stock

ハーバード大学デザイン大学院(GSD)の多彩な教授陣

 我らがハーバード大学デザイン大学院(GSD)には、実に多彩な教授陣が揃っている。不動産投資で成功するのは当たり前、その先のデザイン面や新たな空間の活用方法を世界中の都市で研究するビン・ワン教授、そして名誉教授としても様々な不動産開発の書籍を記しているリチャード・パイザー教授がGSDをリードしている。

 さらには不動産投資ファンドを何社も経営し、その理論と鋭い洞察で、不動産ベンチャー論やファンドの成長戦略を教えるフランク・アペシェッセ教授の授業も玄人好みで大勢の学生が集まる。

 ハーバード・ビジネス・スクール(通称HBS)の不動産系授業にも名物教授がいる。30年以上にわたって教鞭をとり、自身も約3兆円を運用する不動産投資ファンドの創業者、そして『Real Estate Game』の著者ウィリアム・ポルヴー教授が有名だ。

 そして女性ファンドマネジャーとして敏腕を振るい、時に辛辣に学生を鼓舞し、様々な世界的不動産投資プレイヤーの生々しいケースを扱うノリ・リエーツ教授の不動産ファンド授業(Real Estate Private Equity)は抽選に当たらないと取れない名物授業だ。同時に結構なスパルタでも知られている。

 その伝説の教授の1人の授業を受けるのも、僕がハーバード大学院に来たモチベーションのひとつだった。新学期が始まって少しずつ英語での授業にも慣れてきた秋も深まったある日の授業、この日は僕にとって特別な日だった。

 例のウィリアム・ポルヴー教授が、彼得意のケース・スタディをもとに教鞭をとる日だ。実はポルヴー教授がHBSで教鞭をとっていた人気授業が書籍となって、2007年に日本でも翻訳本が出版されていた。

『ハーバードビジネススクールが教える 不動産投資ゲーム』(日経BP)

 この翻訳本は、不動産の実在プレイヤーがどのようにゲームを組み立て、創造性をもってコマを進めていったか、あるいは脱落していったかが活き活きと表現されている。

 僕がちょうど早稲田の大学院を出たころに手にした本で、不動産投資から建築デザイン、都市デザインを突き動かしてゆくという活動のきっかけを与えてくれた非常に重要な本のひとつだ。そしてあっという間に14年の月日が流れていたことに今更ながらに気づき、驚いた。