『スマホ脳』の作者が語る
脳が快楽物質を出す理由

写真:『スマホ脳』の作者、精神科医のアンデシュ・ハンセン『スマホ脳』の作者、精神科医のアンデシュ・ハンセン (C) Stefan Tell

 それでも人はスマホを手放さない。何かおかしいと感じながら、朝起きて最初にスマホでメールをチェックする。

 スマホの何が人を夢中にさせるのか。ベストセラー『スマホ脳』の作者で精神科医のアンデシュ・ハンセンは、人間がギャンブルや酒に依存していくメカニズムと同じことがスマホを使うと脳で起きるからだという。著名人のインタビューを行っているシード・プラニング社から同氏のインタビューを引用する。

 まず脳の目的について、次のように書かれている。

「脳は何のためにあるのでしょうか? 考えるため? 感じるため? 脳は考えたり感じたりしますが、それは生存するために体をどう動かすかを決定するためです。気持ちよくなったり賢くなることは目的ではありません」

 そして、脳は長年にわたり変化していないとして、次のように指摘している。

「私たちの脳は1万年も2万年も変化していません。まだサバンナ生活の脳なのです。ドーパミン(脳内で分泌される快楽を生む物質)は幸せの物質と考えられていますが、正しくありません」

写真:スマホ脳『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン/久山葉子 新潮社)

 ハンセン氏は、脳内でドーパミンが分泌される理由について、生存と繁殖のために何に注意を向けるべきかを人間に教えるためだという。つまり、ドーパミンは「もしかしたら?」「たぶん?」という期待の快感を生み出す物質なのだ。

 ごはんのたびにベルを鳴らすと、ベルを鳴らすだけで犬がよだれを垂らすという、あの条件反射の実験の時、犬の脳の中はドーパミンであふれかえっている。

「脳は『おそらく得られる』という状況が好きなんです。だから人間はギャンブルが好きなんです」