「逆ざや消滅+控除期間短縮」
ダブルパンチに襲われる?

 国の会計検査院は2019年に逆ざや問題を指摘した。会計検査院が17年時点の全国の住宅ローン減税適用1748人の借入金利状況を調べたところ、1366人(78.1%)が1%を下回り、逆ざや状態だった。報告書では、「適用実態等からみて国民の納得できる必要最低限のもの(租税特別措置)となっているかなどの検証を行うことが望まれる」と結んでいる。

 これを受けて20年12月発表の21年度与党税制大綱では、「1%を上限に支払利息額を考慮して控除額を設定するなど、控除額や控除率のあり方を22年度税制改正において見直す」と明記。つまり逆ざやの消滅は既定路線になっているのである。

 さらに19年10月の消費増税(8%から10%へ)に伴う反動減対策として、消費税率10%が適用される不動産売買契約では控除の対象期間を10年から13年に延長する特例となっていたが、こちらの特例廃止も既定路線。つまり現行ルールの終了後は、「逆ざや消滅+控除期間短縮」のダブルパンチに襲われることも大いにあり得る。

 ただし21年度与党税制大綱にも書かれてあるように、租税特別措置は毎年度期限が到来するものを中心に必要性や政策効果を見極めて、「廃止を含めてゼロベースで見直しを行う」もの。

 そのため今後の住宅ローン減税の在り方は、慣例に従えば21年末に発表見込みの与党税制大綱に書かれる内容次第となる。