ホリエモンこと堀江貴文の大ヒット作『ゼロ』──50万部を突破し8年間売れ続けるこのベスト&ロングセラーが、ついにマンガ化された。
自由に生きることの楽しさ、夢の実現に向けて仲間とともに働くことの素晴らしさを分かりやすく描いた『マンガ版 ゼロ』は、仕事や人生に悩み、今の自分を変えたいと願うすべての人のバイブルだ。
「やりたいことは、ぜんぶやれ!」「すべてはノリのよさから生まれる」「とにかくハマれ!」など過激ながら本質的なメッセージ満載の同書から、今回は「ゼロとしての自分に、小さなイチを足す」ことの大切さを説いた部分を紹介する。(連載の過去記事はこちらから)

堀江貴文が教える「自分を変え、周囲を動かし、自由を手に入れるための唯一の手段」とは?

スタートラインでは
誰もが等しく「ゼロ」である

 この『マンガ版 ゼロ』という本で僕は、「働くこと」について考えていく。「働くこと」の意味を考え、その答えを多くの人たちと共有したい。

 人は、なぜ働くのか。どこで、誰と、どんな仕事を、どのようにやっていけばいいのか。いまのままの働き方を続けていてもいいのか。さらには、これからの「働かなくても食べていける時代」をどう生きていくのか。これは僕の個人的な問題意識でありつつ、同時にいまの日本全体に投げかけられた問いでもある。

 僕は10代や20代の若い世代から相談を受ける機会がとてつもなく多い。メルマガだけでもこれまで何万件もの質問に答え、ツイッターでも無数の質問が飛んでくる。そしてその多くは、仕事に関する相談だ。

「学生である自分はこれからどんな仕事に就けばいいでしょう?」

「いまこんな会社で働いているけれど、どうすればいい転職ができますか?」

「独立して起業したいのですが、どんなビジネスプランが考えられるでしょう?」

「こんなビジネスのアイデアに勝算はあると思いますか?」

 などなどである。

 彼ら・彼女らの声を聞いていて感じるのは、みんな「掛け算の答え」を求めている、ということだ。もっとわかりやすい言葉を使うなら、成功へのショートカットを求め、どうすればラクしながら成功できるかを考えている。

 もしかすると、僕に聞けば「ラクをしながら成功する方法」を教えてもらえると思っているのかもしれない。

 でも、ここで確認しておきたいことがある。

 人が新しい一歩を踏み出そうとするとき、次へのステップに進もうとするとき、そのスタートラインにおいては、誰もが等しくゼロなのだ。

 つまり、「掛け算の答え」を求めているあなたはいま、「ゼロ」なのである。

 そしてゼロになにを掛けたところで、ゼロのままだ。ものごとの出発点は「掛け算」ではなく、必ず「足し算」でなければならない。まずはゼロとしての自分に、小さなイチを足す。小さく地道な一歩を踏み出す。成功とは、そこから始まるはずだ。

 僕は、逮捕され有罪となり刑務所に入ることで、それまで積み重ねたさまざまなものをすべて失った。仕事やお金はもちろん、多くの仲間さえ失った。まさに真っさらな「ゼロ」になったのだ。

 そして出所してからやったこと、それは「ただ働く」。それだけだ。

堀江貴文が教える「自分を変え、周囲を動かし、自由を手に入れるための唯一の手段」とは?

 ライブドア時代から続く「ホリエモン」ではなく、「ゼロとしての堀江貴文」に、小さなイチを積み重ねてきた。

 僕は失ったものを悔やまない。なぜなら、何を失ったってマイナスになるわけではなく、人生にマイナスなんて存在しないからだ

 失敗しても、たとえすべてを失っても、再びゼロというスタートラインに戻るだけ。

 ゼロになることは、みんなが思っているほど怖いものではない。

 失敗して失うものなんて、たかが知れている。なによりも危険なのは、失うことを怖れるあまり、前に踏み出せなくなることだ

 これは経験者として、強く訴えておきたい。

ゼロの自分に、イチを足そう

 ところが、この考えに対して、「それって堀江さんだから言えるんですよ」と言う人が非常に多い。つまり僕を特別な人間だとする見方だ。でもそれはまったく違う。

 若い頃の僕なんて、地味でひねくれた田舎者でしかなかった。中高時代も、大学時代も、完全に落ちこぼれていた。まったく勉強しなかったし、ギャンブルにハマった時期も長い。

堀江貴文が教える「自分を変え、周囲を動かし、自由を手に入れるための唯一の手段」とは?

 だからこの本では、「これまで語ってこなかった堀江貴文」について、包み隠さずオープンにする。僕がどこで生まれ、どんな家族の中で育ったのか。なぜ東大をめざし、なぜ起業したのか。女の子にはモテたのか、モテなかったのか。カッコ悪い話も、長年抱えてきたコンプレックスも、すべてありのままに語った。

「中高一貫の進学校に通い、現役で東大に合格し、若くして成功した起業家で、女性にもモテる」なんてストーリーが表面的な結果論に過ぎないとわかってもらえるはずだ。

 僕がどうにか変わることができたのは、小さな成功体験を積み重ね、自分の殻を打ち破ってきたからだ。何者でもない「堀江貴文」という人間を、少しずつ更新してきたからだ。もちろん、はじめの一歩は、すべて地道な足し算である。

 もし、あなたが「変わりたい」と願っているのなら、僕のアドバイスはひとつだ。

 ゼロの自分に、イチを足そう

 掛け算をめざさず、足し算からはじめよう

 僕は働くことを通じて、自分に足し算を重ねてきた。仕事という足し算を通じて、つまらない常識から自由になり、しがらみから自由になり、お金からも自由になってきた。掛け算ができるようになったのは、ずいぶんあとになってからのことだ。

 僕には確信がある。

 どんなにたくさん勉強したところで、どんなにたくさんの本を読んだところで、人は変わらない。自分を変え、周囲を動かし、自由を手に入れるための唯一の手段、それは「働くこと」なのだ。

 そのことをこの『マンガ版 ゼロ』で伝えたい。

(次回に続く。※この記事は、『マンガ版 ゼロ』からの抜粋です。)

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
堀江貴文が教える「自分を変え、周囲を動かし、自由を手に入れるための唯一の手段」とは?

1972年福岡県八女市生まれ。実業家。(株)ライブドア元代表取締役CEO。SNS media&consulting(株)ファウンダー。東京大学在学中の96年にオン・ザ・エッヂ(後のライブドア)を起業。2000年、東証マザーズ上場。04年以降、近鉄バファローズやニッポン放送の買収、衆議院総選挙への立候補などで既得権益と戦う姿が若者から支持を集め時代の寵児に。しかし06年1月に証券取引法違反容疑で逮捕され法廷闘争の末に実刑判決を受ける。11年6月に収監され長野刑務所にて服役。本書の原作『ゼロ』刊行直後の13年11月に刑期を終了し、ふたたび「ゼロ」からの新たなスタートを切った。現在は宇宙ロケット開発、アプリ開発、オンラインサロン運営などで幅広く活躍。