すると、相手が「えっ?」となったので、声のトーンを落としたまま「忙しいって、心を表わす『りっしんべん』に『亡くす』って書くんですよ。忙しいんですよね。一緒に心を取り戻しませんか?」と続けたらアポを取れました。

 言葉のトーンが急に低く、遅くなると、相手は「ハッ」となります。

 普通にしゃべっていたのに、突然、ひそひそ声で「大切なことを教えてやろう」と言われたら相手はググッとひきこまれます。また、人はスピードの遅いしゃべりには重厚感を感じます。映画に出てくる大ボスが皆、ゆっくり話すのはその演出なのです。

■「ノンバーバルデリバリー」で相手をひきこむコツ

【姿勢】
 まず大切なのは姿勢です。伏し目がちで、背中が丸まっている人からはエネルギーが感じられません。胸を張って、堂々と話しましょう。

【視線】
 視線は、大勢の人を相手にするときは上目がちに、ひとりと話すときは相手とアイコンタクトを取りながら話してください。「えーと」と考えるときも、目線を落とさずに、上を向いて考えます。そのほうが前向きな人という印象に映ります。

【表情】
 表情の基本は笑顔。ただし、ツラい話をするときは、少し暗い雰囲気の表情をしなくてはなりません。テレビのニュースを音を消して見てみてください。アナウンサーの表情だけで、明るいニュースを読んでいるのか、暗いニュースを読んでいるのかがわかります。あれは、ちゃんと話題に合わせた表情を作っているんですね。

「バーバルデリバリー」と「ノンバーバルデリバリー」で、相手をひきつけるコツ、わかっていただけましたか。スピーチや演説のうまい人は、デリバリーを駆使しています。機会があったら、ぜひ、意識して観察してみてください。

 できる人は、初対面の相手であっても、最初の3分間のデリバリーで、「あっ、この人違うな」と思わせて、トントントンと相手をひきつけてしまうのです。