「仕事で活用したい」からこそわかったこと

寺澤:私が常々思っていることがあります。「パワーポイントを使ってプレゼン資料を作る」場合、たいていは「プレゼンのプロ」「ビジネスのプロ」が指南していますよね。

 そういった類の書籍を見ると、著者のほとんどは一流のビジネスパーソンたち。外資系企業のプレゼン術、資料の作り方、といった切り口の本をよく見ますよね。

 彼ら、彼女らは決して「パワーポイント」というアプリケーションに詳しい人たちではありません。パワーポイントの機能に詳しいだけの人なら、もっと別の人たちが世の中にはいるはずです。

――たしかにそうですね。

寺澤:つまり「パワーポイントの使い手になろう!」ではなく、あくまでも「ビジネスでいい結果を出そう」「優れたパフォーマンスを発揮しよう」という目標で実績を重ねてきた人たちが指南しているわけです。

 ところが、エクセルに関しては、ましてマクロの話になると、ほとんどが「エクセルやマクロの詳しい人」が指南したり、本を出したりしています。これが初心者の学習を難しくしている大きなポイントです。

 エクセルやマクロに詳しい人たちは、つい「いろんなことを、網羅的に教えよう」と思ってしまう。当然といえば当然ですね。この人たちにとっては、それがすごく楽しいわけです。もともとそのジャンルに興味があって、賢い人たちですから「マクロがどんなふうに動いているのか」をきっちり理解できる。

 でも、仕事のためにマクロを学びたい人たちの目的は違います。

 マクロを学びたいのではなくて、業務を効率化したいのです。「とにかく簡単に、自分にとって必要最小限のことを学び、少しでも早く現場で使いたい」人たちです。

――なるほど、寺澤さんも「仕事で活用する」ために身につけたわけですしね。

寺澤:だから『4時間のエクセル仕事は20秒で終わる』は、とにかく「初心者でもわかりやすいこと」そして「一つ覚えたら、それをすぐに現場で使えること」にこだわって作りました。

 そもそも、私自身が「マクロに詳しくなりたい」「マクロの達人になりたい」とは思っていません。ただ、業務を効率化したいだけです。もともと理系を出ているわけでもなければ、プログラマーでもありませんから。

 私がマクロを独学で身につけたときは、どこから学べばいいのか手さぐり状態。マクロにさせたいことをノートに書き出し、その動きをさせる方法を調べては転記していました。それらを組み合わせながら覚えていきました。

 しかし、こんな苦労は必要ありません。最低限知っておくべき知識とそれを学ぶ順番さえわかれば圧倒的に楽に学べます。身をもって体験したからこそ、「ほんとうに必要な最低限の知識」と「学びやすい順番」がわかりました。これまで数多くの方にマクロを教えてきて、どんな人でもちょっとしたコツさえ掴めば必ずできるようになると確信しています。

 私の本を読んで、エクセルに詳しい人がときどき「物足りない」とか「もっと、こういうことも学べた方がいい」という人もいます。でも、そういった「十分な情報」こそ、多くの人にとって学びを挫折させている要因です。

 日々エクセルを使って仕事をしながら「もっとラクにできないか」「少しでも業務を効率化したい」と思っている人は、ぜひ『4時間のエクセル仕事は20秒で終わる』を手にとってみてください。

 必ず、役に立つ機能がすぐに習得できるはずです。

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第1回 めんどうなエクセル仕事から解放!「一瞬」で「ミスなく」作業が終わるエクセル効率化の秘訣とは?
第2回 「エクセル仕事」を見れば「ただ真面目」か「優秀」なのかがわかる理由

「エクセルやマクロを使いこなせない人」に欠けている視点とは?寺澤伸洋(てらさわ・のぶひろ)
1976年、大阪府生まれ。灘高校、東京大学経済学部卒業後、日系メーカーで17年間勤務。経理や営業、マーケティング、経営企画などに携わり、独学で覚えたエクセルマクロを用いて様々な分析や業務改革を行う。2017年、GAFAの日本法人のうちの1社へシニアマネージャー(部長)として転職。これまでエクセルマクロを用いた業務改善などで数多くの社内表彰を受けている。手作業では不可能なほど大量のデータを、短時間で分析しやすく加工したことが評価され、社内エクセルマクロ講習会の講師として延べ200人以上に講座を実施。エクセルマクロについて1から10まで教える詰め込み型の学習ではなく、仕事に必要な部分だけを効率的に学べる講座として満足度98%の高い評価を受けている。
「エクセルやマクロを使いこなせない人」に欠けている視点とは?