リモハラが起きる「根本的な理由」とは?

 にもかかわらず、なぜ「監視」しようとするのでしょうか?

 私は、「管理」という言葉の理解がズレているからではないかと思います。

 ある辞書で「管理」という言葉をひくと、「ある規準などから外れないよう、全体を統制すること」と書いてありますが、彼らは、「管理職」の職務をこのようなイメージで捉えているのではないでしょうか。だからこそ、「規準などから外れないよう」にするために、メンバーを「監視」しようとするのだと思うのです。

 もちろん、これは辞書に書いてある定義ですから、言葉の意味として間違えているわけではありません。「管理」という言葉には、確かにそういう意味も含まれているのです。だけど、私が思うに、これは主に、「モノ」を管理するときにあてはまる定義ではないでしょうか。

 例えば、「品質管理」という言葉における「管理」には、「ある規準などから外れないよう、全体を統制する」という意味がピッタリとあてはまります。そして、「規準から外れた不良品」を生み出さないために、製造ラインを「監視」することは絶対的に重要な職務となるはずです。

 しかし、管理職が共に働くメンバーは「モノ」ではありません。

 当たり前のことですが、管理職もメンバーも同じ「人間」なのです。にもかかわらず、「モノの管理」と同じような発想で、チームを「管理」しようとしてもうまくいくはずがありません。リモハラの根本には、こうした認識の誤りがあるのではないかと、私は思うのです。

管理職の職務とは、
「よい状態を保つ」ことである

 では、「管理」という言葉をどう理解すればよいのでしょうか?

 私の感覚に近いのは、『広辞苑』に出てくる「良い状態を保つように処置すること」という定義です。「処置する」とは、「状況に応じて適切な手立てを講じる」といった意味合いですから、私なりに噛み砕けば、管理職の職務とは、「組織目標を達成するために、担当するチームが良い状態を保つように、状況に応じて適切な手立てを講じること」ということになります。

 ポイントは二つです。

 第一に、「チームが規準などから外れないよう」にすることではなく、「チームが良い状態を保つように」することが、管理職の主目的であるということ。そして第二に、その目的を達成するために、管理職は「全体を統制する」のではなく、「状況に応じて適切な手立てを講じる」のが主な職務であるということです。

 もちろん、チームを適切に運営するうえでは、法令、社内規定や一般常識から逸脱した行為がないか、管理職はアンテナを立てておく必要はあります。そして、許容できない行為があれば、強制的にそれをやめさせることも必要でしょう。

 だから、「規準などから外れないよう、全体を統制する」のも管理職の職務の一部ではありますが、それはあくまで、逸脱行為が発覚した場合などの“異常事態”における特殊な対応だと認識すべきでしょう。

 そもそも、いくら完璧に「メンバーが規準などから外れないよう」にしたからといって、その結果として「組織目標を達成する」ことができるわけではありません。そうではなく、「チームが良い状態」を保っているからこそ、「組織目標を達成する」ことができるのです。

 そう考えると、管理職の「職務」において、「規準などから外れないよう」にすることよりも、「チームが良い状態」を保つことのほうが本質的なテーマであるのは、当たり前のことではないでしょうか。