いつまでも悩んでいることには、何も意味がない

 とはいえ、どんなに「一期一会」という言葉を大切にしていても、管理職も“ただの人間”ですから、間違いを避けることはできません。私自身、管理職として間違った対応をしてしまったと思うことはいくつもあります。

 職場でメンバーに声をかけられたときに、ついついパソコン画面から目を離さず受け答えをしてしまうといった「小さな失敗」ならば数え切れないほどありますし、会議中に同席した私の上司に対して、社会人としてあるまじき言葉を投げつけたメンバーを、その場で感情的に叱責してしまったこともあります。そのメンバーとの関係性を修復するのに、かなりの時間を要したのを覚えています。

 それに、どうにも相性が悪く、どうやっても噛み合わないメンバーもいるものです。

 私にも、おそらく自分と相性が合わないことが原因で会社を離れたのではないかと思う人が何人かいます。当時は、そのような結末を迎えてしまったことに自責の念を覚え、かなり長く後悔と懺悔の思いを引きずったものです。

 しかし、あるとき気づきました。

 いつまでも悩んでいたって、いつまでも自分を責めていたって、何も生まれません。すでに相手は会社を退職して、新しい人生に踏み出しています。もう終わったことなのです。にもかかわらず、グズグズと悩んでいたって、元気と自信を失うばかりです。それよりも、そのときの反省を胸に刻んだら、新たに気持ちを切り替えて、目の前のメンバーとしっかり向き合い、日々のマネジメントに全力を尽くすべきなのです。

 そもそも、マネジメントの経験をいくら積んだとしても、失敗するケースをゼロにはできません。マネジメントも結局のところは「人間関係」であり、「人間関係」に正解はありません。どんなに気をつけても、何らかの問題が生じるのが「人間関係」なのです。

 そして、「人間関係」において問題が生じたときに、どちらか一方が100%悪いというケースはほぼないと言っていいでしょう。お互いに落ち度があるからこそ問題が発生するのです。私たちにできるのは、自分の落ち度をしっかりと反省をして、それを修正する努力をすることだけです。いつまでも悩んでいることには、何も意味がないのです。