また、人口が多く賃貸の需要があるとはいえ、物件数も多いので、賃貸需要と供給を割り算すれば、人口比では地方都市とあまり変わらないことも考えられます。さらに、競争が激しく、入居時に大家が不動産屋に支払う(支払わざるをえない)広告料(要はお礼のようなもの)が高騰している地域もあります。

リタイアをしたい人は
投資効率を考えるべき

 リタイアを目指すには、家賃収入の額自体が多いこと、さらに、手残り額を多くすることが必要で、そのためには利回りが高く、諸経費が少なくなければなりません。そこで、ターゲットとなりうるのは地方都市です。

 人口は都会より少なくとも、物件数も都会より少ないので、割り算すれば賃貸需要と供給はある程度釣り合っています。建物価格は都会と変わらないと仮定しても、土地が安いので物件価格は都会より安いです。家賃は安いですが、都会と比べた場合の物件価格の低下ほどには家賃は低下しません。

 たとえば物件価格が都会の3分の1だからといって、家賃が3分の1にはなりません。あくまで一般的な傾向ですが、地方の物件は、都会の物件より(1)価格そのものが安く(2)利回りが高い物件があり(3)固定資産税などは安いので、(4)手残り額が多くなりうるということになります。

 つまり、地方において、利回りが高く、ある程度の規模の物件を買い進めることが、リタイアを目指す有力な選択肢になります。絶対的な借入額(返済額)を抑えながら早期リタイアするには、地方物件を中心に購入するほうが有利です。

忘れてはいけない
地方でのデメリット

 もちろん、地方での不動産経営には、都会での長所と裏返しの短所があります。

 地方は、持ち家率が高いです。分譲マンションは数が少ないのですが、土地が安くて広いので、20歳代で中古戸建のみならず新築建売の購入、さらに注文住宅を建てる人もいます。昨今の賃金の低迷で住宅ローンが組めないと思うかもしれませんが、地方の金融機関では、かなり低い年収でもサラリーマンなら住宅ローンを借りることが可能です。

 相続や親からの金銭的援助、親のお金による二世帯住宅の建築も都会より非常に多いです。もちろん親との同居も多いです。そのため、賃貸需要が都会より少ないという短所があります。

 また、駐車場が必須です。地方は中心都市でも車がないと仕事も生活もできません。1世帯に1台は当然で、普通は夫婦ともそれぞれ持っています。つまり、戸数×1、できれば1.5~2倍の台数分の駐車場を、敷地内または近隣に借りて確保する必要があり、その分コストがかかります。

 金融機関が少なく、不動産屋も少ないので選択の幅がありません。また、売りに出る物件も少なく、逆に売ろうとしても買い手が少ないという短所もあります。そもそも世間が狭くて、いろいろやりにくいこともあります。